消えた元祖ステルス機「ハブ・ブルー」のミステリー アメリカの最高機密 砂漠のどこかに残骸が?

F-117にソックリ、でも中身は既存機の流用

 当時、ステルス技術に関する研究開発は極秘であり、この「ハブ・ブルー」の製造とテストも隠密裏に実施されています。予算を節約するために、機体はF-5「タイガー」戦闘機のランディング・ギアや、F-16「ファイティング・ファルコン」戦闘機のフライ・バイ・ワイヤシステムを流用。エンジンも当時、海軍で使われていたT-2C「バックアイ」練習機のものが使われました。

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「ハブ・ブルー」によって開発されたF-117「ナイトホーク」。2008年に退役したが、最近になって訓練などの任務で限定的に現役復帰して運用されている(画像:アメリカ空軍)。

「ハブ・ブルー」は当時、カリフォルニア州バーバンクにあったロッキード社の工場で製造されましたが、存在を完全に隠匿するためにエンジンテストは夜間にのみ実施。バーバンク市民の安眠と、関係者がクレーム電話に対応することを引き換えに、機体の存在は世間に知られることはありませんでした。

 完成した機体は分解してC-5「ギャラクシー」輸送機に積み込まれると、ネバダ州のネリス空軍射爆場(現ネリス試験訓練場)にある実験施設、通称「エリア51」に運び込まれて、世間の目から隔絶された状態で飛行試験を行っています。「ハブ・ブルー」に関する情報が極端に少ないのもそのためで、特にステルス機の場合は機体の外見自体が技術的に重要とされるので、写真については撮影そのものが制限されていたようです。

「ハブ・ブルー」は2機が製造され、1号機(HB1001)は36回、2号機(HB1002)は52回の試験飛行を実施しています。しかし、双方の機体とも飛行中の事故で大破。機密保持を目的に、残骸はネリス空軍射爆場の敷地内に埋められ、その正確な場所はいまや誰も知らないとほどだそう。

 墜落という航空機にとっては悲劇的な終わり方をした「ハブ・ブルー」でしたが、開発計画自体は成功したと判断され、これにより「ステルス機」というコンセプトがレーダーに対して有効であることが証明されました。

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コメント

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2件のコメント

  1. F-117は、「戦闘機」識別になってるけど、実際には、「攻撃機(爆撃機)」としての能力しかなかったんだよね。

    • 実戦で搭載したことはないが、サイドワインダーの搭載予定そのものはあったらしい。