アメリカ最新爆撃機B-21ついに披露「ギネス級の金食い虫」らを何とかしたい米空軍の思惑
現代戦への対応が難しくなりつつあるB-52
B-52は、前出のB-2やB-1と比べるといたって平凡です。ステルス性や超音速飛行性能などがないぶん、B-2やB-1と比べて運用コストは低く、アメリカ空軍が運用するほとんどの航空機用兵器が搭載できるというメリットもあります。
しかし、半世紀以上も前の機体ゆえに、現代の防空システムに対しては脆弱であり、ステルス機のように敵支配地域へ直接進攻するようなことはできません。そのため、現在では敵側の防空圏外から攻撃できる巡航ミサイルといったスタンド・オフ・兵器と組み合わせての運用が主体になっています。
軍事的に見ると爆撃機の利点は、長距離飛行能力と大きな積載量を活かした多くの兵装からなる高い打撃力であり、敵勢力下に進攻して攻撃するような任務で、その真価を発揮します。しかし、現在のアメリカ空軍でその能力を満たすのはB-2だけであり、その数はあまりに少なく高価です。次点のB-1は機体損耗が激しく、B-52は搭載する兵器の高性能化でなんとか対応している状況です。
新しくB-21が開発される理由のひとつは、運用面で問題を抱えるB-2とB-1を交代するためです。アメリカ空軍ではB-2とB-1の退役は、B-21の配備と連携するように進めていくようで、B-2とB-1は2030年代初頭にそれぞれ退役させる予定だとか。一方、最も古いB-52については、兵器の発射プラットフォームとしての価値を認めており、エンジンやアビオニクスを換装して大規模なアップグレードを施す計画(B-52Jと呼ばれる予定)で、これによって2050年代まで運用するとしています。
こうして見てみると、B-21は単なる新型機ではなく、アメリカ空軍の爆撃機部隊の運用に関わる重要な存在といえるでしょう。この機体の配備は既存の運用機数の削減や運用方法の変化にも繋がるものであることから、B-21の開発とその戦力化が滞りなく行えるかどうかは、アメリカ空軍の将来の作戦遂行能力を左右する重要なポイントといえるでしょう。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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