「そのF-16買う!」米海軍が空軍のお古に目をつけたワケ 空母で使えなくても財布に優しい?
実は過去にもあった米海軍でのF-16運用
ちなみに、アメリカ海軍がF-16を運用するのは、これが初めてではありません。1988年には敵役としての専用モデルであるF-16Nを開発して配備。これら機体はアドバーサリー飛行隊や「トップガン」の名称で有名なアメリカ海軍戦闘機兵器学校(当時)で使われていました。しかし、激しい模擬空中戦の酷使によって機体に亀裂が入るトラブルが発生し、1995年にはすべて退役しています。
しかし、F-16自体はアメリカ海軍にとって使い勝手の良い戦闘機だったのか、それから7年後の2002年にF-16A(複座のB型も)を14機購入。これらはもともとパキスタンに輸出される機体として生産されたものでしたが、同国が核兵器研究開発を行ったことによる制裁措置でアメリカに留め置かれていたもので、それをアメリカ海軍が新古品という形で引き取ったものでした。これらのF-16は、アメリカ海軍戦闘機兵器学校が併合されたアメリカ海軍航空戦開発センター(NAWDC)で今も運用されています。
空軍機であるF-16は、通常の運用方法では海軍の戦闘機として使うことはできません。しかし、その卓越した機動性は戦闘機としてトップレベルであり、訓練での敵役という独自の任務ではベストな存在だともいえるでしょう。
アメリカ海軍もその点は重々認めているからこそ何度も導入しているといえ、側面に「NAVY」の文字を描いたうえで、元空軍機を今後も活用し続けることは間違いなさそうです。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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