世界最速の航空機=伝説の金食い虫! SR-71「ブラックバード」ミサイルかわすも予算で“撃墜”

60年ほど前の1964年12月22日、世界最速の実用機といわれるSR-71「ブラックバード」が初飛行しました。この機体、すべてが専用設計で運用コストはケタ違いだとか。燃料も特注品のため、空中給油機も専用のものだったそうです。

「撃墜ゼロ」の圧倒的性能

 SR-71は、末期のベトナム戦争や、1973(昭和48)年の第4次中東戦争、1986(昭和61)年のリビア爆撃(作戦名エルドラド・キャニオン)などで実戦投入されたほか、戦争状態ではないものの旧ソ連(現ロシア)やキューバ、ニカラグア、北朝鮮といった対立陣営の国々への偵察活動も行っています。

 なお、任務中には相手側から迎撃を受けることもあり、長期に渡ったベトナム戦争での活動では、その期間中にSR-71に対して約800発のミサイルが発射されましたが、自慢のマッハ3の飛行性能でこれらを回避。1999(平成13)年の退役まで、相手からの攻撃によって撃墜された機体はゼロという記録も打ち立てています。

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ハンガー内で離陸準備を行うSR-71。機体下には燃料が漏れているのが分かる(写真:アメリカ空軍)。

 人類史上最速の航空機だったSR-71ですが、そんな超高性能機を“撃墜”したのは、「予算」という現実的な要因でした。マッハ3で飛ぶSR-71は、あらゆる点で従来の航空機とは異なっており、多くの部品が規格外の特別製。ゆえに、運用するには膨大な手間とコストが必要となるのがネックでした。

 マッハ3で飛行していると、空気の圧縮による空力加熱によって、機体表面は約300度まで熱せられ、エンジンノズル付近では約650度までなるとか。この熱対策のために機体の9割がチタン合金で作られましたが、それでも超音速飛行時には熱による膨張で機体が約9インチ(約22.86cm)も伸びるため、機体は冷えた地上では隙間が生じるという設計となっていました。このため、地上で燃料を入れると、その隙間から燃料が漏れ出すという特殊な仕様だったようです。

 パイロットは重量18.1kgもある、宇宙服のような完全与圧服を着用。これは後にスペースシャトルのクルー用スーツとしても流用され、本当に宇宙服になってしまった一品です。タイヤは高温でもパンクしないようにアルミニウムパウダーを練り込んで窒素ガスを充填した特注品を使用。このタイヤは1本で2300ドル(約30万円)もしますが、使用回数制限は20回程度しかなかったといいます。

【まるで宇宙服!】専用の飛行服とヘルメットを着用したSR-71クルーほか

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