“核兵器+超音速”でも最強になれず B-1「ランサー」奇跡の復活で今や爆弾の鬼!
現行のB-1は核兵器の運用ムリ!
A型とB型の変更点はいくつかありますが、わかりやすいポイントは、要求最高速度の低下とそれによるエアインテーク(空気取り入れ口)周りの設計変更です。A型ではマッハ2以上の最高速度が求められましたが、B型はそれがマッハ1.25になりました。低速と高速に対応するためにA型のインテークは可変式でしたが、B型は固定式になり構造の簡略化ととともにコスト低下を実現しています。
B型も、当初はA型が想定していた核戦力の一端を担っていたものの、冷戦終結による核兵器削減の流れによって通常兵器を運用する爆撃機へと任務の軸足を移します。その結果、前出したように次々と様々な戦争地域へ駆り出されるようになりました。
なお、B-1は一部メディアから「死の白鳥」という異名で呼ばれることもあります。しかし、これは最初のB-1Aが核爆発時の閃光対策で機体を白く塗っていたことと、同機が核攻撃を専門としていたことが理由だと思われます。しかし、現在のB-1B型はグレイ系の塗装が基本であり、核兵器の運用能力自体も失っています。
「死の白鳥」という言葉は詩的な表現ともいえますが、それはB-1の白鳥のような美しいスタイルと、狂気じみた核攻撃能力にマッチしていたのかもしれません。ただ、それはあくまでも最初の頃の印象であり、初飛行から半世紀近くが経った今のB-1とはかけ離れたものといえるでしょう。
アメリカ空軍は当初100機のB-1Bを配備していましたが、近年はそれが62機まで減少。さらにアフガニスタンなどでの運用で機体疲労が進んだことが判明し、2020年にはさらに17機を早期退役させ、その大部分を残りの現役機の部品取りに使うことを決めました。ゆえに、B-1は現在開発中のB-21「レイダー」の配備と入れ替わるように2030年代前半に完全退役する予定です。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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