珍機「スキー付きハーキュリーズ」何のため? ベストセラー輸送機C-130派生型 滑って着陸!?
輸送機のベストセラーC-130「ハーキュリーズ」には南極や北極で運用するための派生型もあるそう。途中で海軍から空軍に移管されるなどしているものの、現在も改良が加えられたり新型が登場したりして飛び続けています。
初飛行の直後に生まれたスキー履き「ハーキュリーズ」
ロッキード・マーチン社が開発・生産している輸送機C-130「ハーキュリーズ」は軍用輸送機の決定版とも形容される傑作機です。1954年8月の初飛行からすでに70年近く経つものの、いまだに最新モデルC-130Jの生産が続いており、シリーズ累計の生産数は2500機を超え、日本を始めとして世界約70か国で運用されるほどのベストセラー機となっています。
ゆえに、オリジナルの輸送機型をベースに空中給油型、特殊任務型、救難救助型、さらには火器を搭載した攻撃型などの多くの派生モデルが作られているほど。そんな派生型のなかでも一風変わっているといえるのが、南極観測支援用ではないでしょうか。
そもそもC-130輸送機の極地での運用は、1950年代にまで遡ることができます。米ソ冷戦の緊張が高まりつつあった1954年、当時のアメリカ大統領アイゼンハワーはソ連からの進攻をなるべく早い段階で発見することを目的として、北極圏にレーダーサイト群を建設しました。それらはアラスカの北極海沿岸からカナダ極北部を横断してグリーンランド南部にまで至るエリアで、これらは「DEW」(Distant Early Warning:遠距離早期警戒)ラインと命名されます。
そして、極寒地に置かれたこれら拠点に対する輸送のため、C-130Aにスキーを取り付けた機体が1957年に初飛行しました。試験の後、DEWライン支援用としてC-130Dの名で12機が生産され、アメリカ空軍が運用しました。こうして「スキーを履いたハーキュリーズ」が誕生したのです。
一方、視点を南極に移すと、アメリカは同大陸において、端に近いマクマード基地と南極点にあるアムンゼン・スコット基地、この2か所の主要な基地のほかに複数の実験施設や観測地点を運用しています。そうした基地への人員や物資の輸送など、さまざまな南極観測の支援については海軍が行うことと定められていました。そこで海軍が、前出の空軍向けC-130Dを参考にして作ったのがLC-130Fです。こちらは4機が製作され1961年から運用されました。
空母にも離着艦できて何でもござれのC-130。
・・・そういえばC-130にフロート付けて水陸両用にする計画がありましたが、音沙汰がありませんね。
(2022年中に実機テストするって話でしたが、やはり無理がありすぎたか。。。)