珍機「スキー付きハーキュリーズ」何のため? ベストセラー輸送機C-130派生型 滑って着陸!?

極地専用「ハーキュリーズ」の拠点はニューヨーク

 LC-130は当初ロードアイランド州のクオンセット・ポイント海軍航空基地の第6南極開発飛行隊(VXE-6)に配備され、その後、太平洋岸に近いカリフォルニア州ポイント・マグー海軍航空基地に転属して、南極観測支援の任務に従事しています。なお、1973年にはエンジンをパワーアップするなどした改良型のC-130Hをベースにした新型LC-130Rが配備されました。

 これらLC-130シリーズが装着しているスキーはボートのような形状をしており、その真ん中からタイヤが露出した形状をしています。固い地面に着陸すればタイヤが機体を支え、氷雪に覆われた地面に着陸する場合はスキーで重さを支えて機体が雪にめり込むことを防ぐ仕組みです。

 そのため、舗装された滑走路でもスキーを履いたままの状態で運用可能ですが、スキーを付けているため、車輪は引き込むことができません。ゆえに飛行性能は通常型C-130と比べ落ちるといいます。それを補うべく、後に製造されたLC-130Rではエンジンのパワーアップに伴い翼下に燃料タンクを増設し航続力をアップさせています。

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1985年7月5日、旧モフェットフィールド海軍航空基地で撮影したアメリカ海軍のLC-130R。従来のLC-130Fよりもエンジン出力がパワーアップするなどした改良型(細谷泰正撮影)。

 その後、1999年より南極観測の支援任務が海軍から空軍へ移管されたことに伴い、LC-130は全機がニューヨーク州空軍第109空輸飛行隊に転属となりました。ニューヨーク州空軍ではLC-130「スキーバード」などと呼ばれ、現在ではストラットン州空軍基地を拠点にしています。

 昨年(2021年)度は新型コロナに対応するため、南極への輸送業務にも蔓延防止対策が取られました。具体的には、隊員は南極へ向かう前にニュージーランドのクライストチャーチで一定の待機期間を過ごした後、南極へ向かうという形にしていたのだそう。それでも2021~2022年観測年度は40回のミッションが行われ、延べ204人と162.14tの貨物が空輸されました。そのうち24回は南極大陸内の飛行で、16回はニュージーランドと南極大陸の間で行われました。また、4回は患者輸送であったと発表されています。

 アメリカ海軍と同空軍では、E-2D早期警戒機をはじめC-130輸送機などT56エンジン装備機のプロペラを4枚から8枚へ交換するアップグレードを進めています。これによりC-130輸送機などは離陸性能が向上するとのこと。ニューヨーク州空軍のLC-130も2008年にこのアップグレードが実施されました。これにより、まだ当分のあいだはLC-130「スキーバード」も飛び続ける模様であることから、「スキーを履いたハーキュリーズ」の活躍は今後もしばらく続きそうです。

【了】

【絶景! オーロラとのツーショットも】雪原で離着陸するLC-130「スキーバード」ほか

Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)

航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事

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コメント

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1件のコメント

  1. 空母にも離着艦できて何でもござれのC-130。

    ・・・そういえばC-130にフロート付けて水陸両用にする計画がありましたが、音沙汰がありませんね。
    (2022年中に実機テストするって話でしたが、やはり無理がありすぎたか。。。)