戦闘機100機持つ民間企業!? 英空軍が“軍事請負会社”利用開始 「国防に優れた費用対効果」

イギリス軍が民間企業を頼ったワケ

 これら部隊ではハイレベルな訓練環境を提供するために、ベテランパイロットが現役戦闘機を操縦していますが、すべての訓練を最高の機材で行う必要はなく、その一部を民間企業が低コストで肩代わりするのです。

 だからこそ、その部分に民間の軍事請負企業は参入し、利益を上げているといえ、2023年現在、アメリカを中心にドラケン・インターナショナルのような民間企業は複数存在しています。

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編隊飛行で飛ぶL-159「ハニー・バジャー」(写真:イギリス空軍)。

 イギリス空軍とドラケン・ヨーロッパは、「暫定・レッドエア・アグレッサー・トレーニング・サービス(IRAATS)」という名前で2022年3月に契約を結んでおり、その期間は3年間。さらにオプションとして追加で3年間の契約延長も含まれているそうです。これまで同様の任務は、イギリス空軍がジェット練習機「ホークT.1」を使って自前で行っていましたが、同機がイギリス空軍の訓練部隊から退役することから、その業務を民間委託することになり、それが今回の契約へと繋がりました。

 今回の初訓練に際して、イギリス空軍の上級責任者であるタウンゼント准将(Air Commodore)は次のコメントを発表しています。「このサービスだと、戦闘機パイロットに真の挑戦をもたらし、将来の作戦のためにより効果的な訓練を行えます。(この契約は)手頃な価格で提供可能であり、国防に優れた費用対効果を提供します」。

 軍事や防衛の分野でコスト削減による業務の民間委託は珍しくありませんが、それがジェット戦闘機を飛ばすことにまで及ぶのはちょっと意外かもしれません。しかし、ドラケン・ヨーロッパのような企業がすでに複数存在し、実は日本国内でもATACという企業が在日米軍を対象に活動を行っています。

 このような事業が成長を遂げているところを鑑みると、今後は他国でもそのような民間企業は珍しいものではなくなり、もしかしたら日本国内でも同種の会社が誕生するかもしれません。

【了】

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Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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