阪急の異色ハイグレード車両「京とれいん」はどう誕生? 入魂の内装ながら料金不要!
半個室と見紛うような豪華な座席も
阪急電鉄の車両は、開業時より一貫して「阪急マルーン」と呼ばれる黒味が強い栗色で塗装されており、これが伝統となっています。「京とれいん」もその伝統を継承しつつ、金銀の京扇を大きくあしらった美しい外装となりました。内装は京都の町屋のイメージで改装。6両編成のうち、1・2・5・6号車は種車の6300系と同じ転換式クロスシートですが、そのモケットは唐紙をモチーフとしたものへ変更されました。
1・2号車は「蘭の華散らし」、5・6号車が「麻の葉」をイメージした座席となり、側扉の横には和紙作家の堀木エリ子氏による掛け軸風ポスターも提出されました。車内広告も全て撤去され、落ち着きのある内装でした。
では3・4号車はというと、「京町家」をイメージした車内です。側扉付近のデッキを「玄関」に見立て、格子のような飾りがデザインされました。
そして座席は1+2列のボックス式クロスシートですが、背もたれが非常に高く設定されており、半個室のような雰囲気に。特筆すべきは座面が畳で、その上に座布団が置かれている点。間接照明への変更もあって、明らかに特別な車両と感じられるものでした。
なお、車内自動放送が導入され、日本語、英語、中国語、韓国語の放送が行われていました。観光列車らしく、季節ごとに放送が変更され、嵐山の観光ガイドも放送されていたようです。車端部にパンフレットラックがあり、京都ガイドマップの配布も行われていました。
運行開始後は好評を博し、訪日外国人も増加していたことも受け2016(平成28)年より3年かけて開発されたのが、7000系を改造した後継「京とれいん 雅洛」です。
登場から半世紀近くが経つとはいえ、手が加えられやや特別な道を歩んできた6300系。嵐山線も含め今後どのようになるのか注目です。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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