「左側通行にご協力を」駅や空港はなぜ道路のルールと反対なのか 鉄道会社「結果的に左に」
日本の公道で歩行者は右側通行とされます。しかし、電車や地下鉄のホームに向かう通路などは、左側通行のケースが圧倒的に多い印象をうけます。それはなぜなのでしょうか。
なぜ駅は左側通行が多いのか?
「車は左側通行、人は右側通行」。交通ルールを学ぶときおそらく真っ先に教えてもらうことのひとつが、このルールだと思われます。ただ、これは公道での話。駅などでは、「左側通行にご協力ください」との案内が見受けられます。
もちろん、歩行者だけが通る施設で通行方向が決まっていないところもありますが、駅の通路や階段など、通行方向の整理が必要な箇所では、圧倒的に左側通行が多い印象をうけます。たとえば羽田空港のターミナル内通路の両脇に設けられた「動く歩道」も、左側通行の方向で動いています。なぜ、道路上のルールと異なるのでしょうか。
東京メトロに地下鉄駅の歩行者の通行方向について尋ねると、「駅構内の通行区分を決める際にはお客様の流動を考えて、現場、つまり駅とも調整の上、通行区分を設定しております」との回答。その人の流れを考慮すると、結果的に左側通行が多くなってしまうといいます。
また、東海テレビが2021年10月に名古屋市営地下鉄6路線全87駅を調査したところ、左側通行もしくは右側通行の駅、両方が混在する駅、そもそも通行区分がない駅など、バラバラだったそうですが、左側通行が圧倒的に多い傾向であることはわかったそうです。
なぜ駅構内などで左側通行が多いのか。これについて、最初に近代的な交通ルールが定められた時代にそうだったから、という説があります。
原稿にもありますが、左側通行のルールが変わったのは1949年の道路交通法改正で、クルマと歩行者を対面通行にすることが原則となりました。「車は左、人は右」というスローガンが後に生まれますが、それはどういう意味かというと、「車は左(側通行)、人は(道路の)右(を歩く)」という意味で、歩行者が歩道の無い車道を歩くときは、対面の車が見やすい道路の右側を歩きましょう、ということなのです。歩道がまだ一般的でない、車両と歩行者が同じ道路上で混在していた時代の法改正で、「車は左側通行、人は右側通行」ではありません。
右側通行というものは対面交通という考え方に基づき決められたものであることから、歩道が無い場合に適用されるルールです。つまり、その考え方に従うと歩道では左側通行が合理的と言えます。
現在の歩道の整備状況から考えると、地域差はあるものの、歩道の利用頻度が高い人々も相当数居ると考えられ、左側通行が道路のルールと反対というのは少し違和感を感じました。