現実では邪魔かも!?「大佐どいてください!」シャアみたいに前線に出た指揮官たち

高位の人間が戦死すると逆に問題

 シャアといえばファーストガンダムの続編である、『機動戦士Ζガンダム』では物語後半に反地球連邦組織「エゥーゴ」の実質的な指導者となり、さらに後にできた作品『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、「ネオ・ジオン」の総帥として登場しますが、そこまで高位な存在になっても相変わらず前線に出ています。『逆襲のシャア』の場合では、実質的に国家元首のようなポジションにも関わらず、このフットワークの軽さです。

 現実世界では、国家元首が前線指揮を執るのは限りなく可能性が低いものの、ゼロではなさそうな人物が現代にひとりだけいます。ヨルダンのアブドゥッラー2世国王です。

 アブドゥッラー国王はイギリス軍仕込みの戦闘技術を体得しており、ヨルダン軍の特殊部隊に所属したこともあるほか、「チャレンジャー1」戦車の操縦や部隊指揮までできます。だからか、のちに否定こそしたものの、2015(平成27)年には、イスラム国との戦いで国王自ら戦闘機を操縦し、空爆に参加したという報道が流れたほどです。

 ただ、シャアのように、指導者ポジションの人物が、気軽に前線へ出て自身が未帰還となると、後が大変です。前述した「エゥーゴ」と「ネオ・ジオン」では、シャアが戦闘で行方不明になってからは強い求心力のあるリーダーがおらず、弱体化したり、組織としての体をなさなくなったりしていました。相応の立場にいる人が、気軽に前線に出るのは、実際には悪手と言えるのかもしれません。

【了】

【まさに戦う王様】軍事訓練に参加するヨルダンのアブドゥッラー2世国王

Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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