密漁船は逃がさない! 韋駄天巡視艇「たかつき」引き渡し 守備範囲は瀬戸内・愛媛

離島の多い瀬戸内海での急患輸送も想定

 現在、海上保安庁は密輸・密航などの海上犯罪取り締まりや救難・防災などといった業務基盤の充実・強化を図るため、巡視艇の代替整備を進めています。今回、新造された「たかつき」も、1992(平成4)年に竣工した巡視船「たかつき」(114総トン)の代替であり、2020年度補正予算に計上された5億円で建造されています。

 同船は従来のはやぐも型に比べて、船内のレイアウト変更や情報伝達能力の強化といったマイナーチェンジが図られていますが、なかでもコロナ禍後に計画された新造船ということで、船内に「感染症患者搬送区画」を設置しているのが特徴となっています。

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船首甲板上に整列した新造巡視艇「たかつき」の乗組員(深水千翔撮影)。

 宇和島海上保安部の担任水域である宇和海は、大島や戸島といった離島が点在しており、緊急時には設備が整った病院がある地点へ患者を運ぶ急患輸送に対応する設備が求められていました。加えて、周辺を航行する船舶で新型コロナなどの感染者が発生し、陸上の医療機関への搬送が必要になった場合にも対処することが想定されています。

 新設された「感染症患者搬送区画」では、巡視艇と海上保安官への影響を最小限に抑えるため、患者を運び入れる区画向けに専用の空調と水密扉を整備。室内の気圧を外より低くした陰圧室としての機能を持たせることで、船内でのウイルス拡散を防ぐようになっています。なお、隔離区画は船内を経由せずに外から直接、感染症患者を運び込める構造となっており、患者が船内の他の区画に移動しなくても済む構造となっていました。

 ほかにも、目標追尾型遠隔操縦機能(RFS)を備える12.7mm多銃身機銃や、昼夜を問わない監視・採証と捜索救助を可能にする採証機能付き探照灯、最新型の複合型ゴムボートなどを搭載。停船命令等表示装置もフルカラーのものを両舷に設置しています。

 引き渡しに際して海上保安庁長官の訓示を代読した、第三管区海上保安本部の江原千晶総務部長は、「乗組員諸君は、我が国周辺海域を巡る情勢が緊迫する中で、海上保安庁に課された任務の重要性を改めて認識し、本船の優れた能力を遺憾なく発揮できるよう研鑽に務めると共に、国民の負託に存分にこたえられるよう業務にまい進してほしい」と述べました。

【了】

【舵輪まるでレーシングハンドル!】最新巡視艇「たかつき」を外も中もイッキ見

Writer: 深水千翔(海事ライター)

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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1件のコメント

  1. 停船命令を無視して逃走します 艦長殿!警告射撃の許可を (艦長)待て!上の指示を仰ぐ (上)待て艦長!上の指示を仰ぐ (その上)上の奴待てこれから書類に記入して・・・