兵器で最も重視される要素とは? 「レオパルト2」はなぜベストセラー戦車となったのか

ドイツ製戦車「レオパルト2」は、いわゆる西側陣営のベストセラー戦車です。なぜこれほど広く使われるようになったのか、その理由を紐解くことで、およそ「兵器」というものに最も求められているものについて見ていきます。

「レオパルト2」は西側最大のベストセラー戦車へ かたや東側陣営では…?

 とはいえ「レオパルト2」は、ドイツのブランド力だけで売れたわけではありません。

 クルマのディーラーが謳うセールス文句そのままのような、堅実かつ発展性のあるその設計は、ユーザー独自の改修を施す余地が大きく、ドイツ政府やメーカーはそうしたニーズに応じ、仕様変更にも対応する柔軟なサポート態勢を整えるという品質向上にも努力しました。

 こうしてドイツおよび「レオパルト2」は、ユーザーが増えればさらにアフターフォローも充実するという、持続可能なビジネスモデルの構築に成功したのです。ウクライナが「レオパルト2」を熱望した大きな理由のひとつは、この充実したアフターフォローを期待してのことです。

Large 20230213 01
「レオパルト2」はユーザーのニーズに応じて改修できる設計上の余裕があった。ポーランド陸軍仕様に改造された「レオパルト2PL」(画像:ポーランド国防省)。

 ここでひとつ注意が必要なのは、戦車をはじめ兵器ビジネスは、クルマのビジネスとは違って基本、国家間取引で、製品力だけでなく外交関係の影響を強く受ける、ということです。

「レオパルト2」と対決するかもしれないロシアのT-72戦車は、これまで41か国で使われ生産台数も2万5000両以上という、「レオパルト2」をしのぐベストセラーです。しかし、日本でソ連/ロシア製のクルマをほとんど見かけることがないように、かの国に「工業力のブランド」は、宇宙技術など以外にあまり感じられません。

 T-72がベストセラーになったきっかけは、戦車の製品力というより、旧ソ連を中心とする社会主義陣営のなかで友好国へ政策的に安価で輸出し、一方で国産戦車の開発を許さないという、ソ連の政策的要因が大きく関係します。第2次世界大戦まで戦車王国と呼ばれたドイツの系譜を継いだ西ドイツが、「レオパルト」という傑作戦車を生み出したのとは対照的に、ソ連の社会主義陣営に入った東ドイツは、戦車の試作すら許されませんでした。

Large 20230213 02
冷戦期、東側陣営の最前線だった東ドイツ軍のT-72戦車。西ドイツと並び戦車王国の血統でもある東ドイツだったが、盟主ソ連の意向で戦車の独自開発は許されなかった。

 ただ、ソ連/ロシア戦車はコスパに優れていました。T-72は先端技術こそ使われていませんが、長く使われている堅実な技術で高い信頼性がありました。そうでなければ政治力のごり押しだけで、41か国ものユーザーを獲得することはできません。ユーザーが増えれば品質も安定し、アフターフォローも充実するという持続可能なビジネスモデルができたのは、「レオパルト2」と同じ流れともいえます。

【画像】WW2当時から完成度高いな! 並べて見比べるIV号戦車と「レオパルト2」

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. ポーランドのレオパルト2については、ドイツが1両を1€で売ったからというのとドイツ政府とポーランド政府の取り決めがあったからじゃないかなぁ。

    今のポーランドはドイツ戦車を早く追い出したくて仕方ないみたいに見える。

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス