「ピックアップトラックのEV」米でなぜ続々? 「誰が買うの?」懸念の声も大きい理由

ラムトラックは「スーパーボウル」のCMでEVピックアップトラックである「ラム1500 REV」を初公開。フォードもEV仕様のF1500を発売。なぜアメリカでピックアップトラックEV化の波が起きているのでしょうか。

大衆車だからこそ急がれるEV化

 アメリカ時間の2023年2月12日に行われたNFLの優勝決定戦「スーパーボウル」のテレビCMで、ラムトラックスはEV仕様のピックアップトラックである「ラム1500 REV」を初公開しました。アメリカで不動の人気を誇るダッジ・ラムのEV版です。ボディーの大部分は既存のラム1500と同じですが、EV化によりエンジンの空いたスペースが収納になっていることが特徴のようです。

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今回公開されたラム1500 REV(画像:ラムトラックス)。

 いま、アメリカではピックアップトラックにEV化の波がきています。2022年の4月にはフォードがピックアップトラックF150のEV仕様「F-150ライトニング」を発売、GMもハマーブランドで、EVピックアップトラックである「ハマーEVエディション1」の 2023年中の発売を予定しており、トヨタもピックアップトラック「ハイラックス」のEV化モデルを2023年中に発売するとしています。巨大サイズ揃いのピックアップトラック市場で、なぜEV化が先行しているのでしょうか。

 背景には、アメリカのEVシフトの遅れがあると言われています。2021年8月、バイデン大統領は2030年に新車販売全体に占めるEV割合を50%にしようと目指す大統領令に署名しましたが、現状では、カリフォルニア州など、突出してEV率の高い州はあるものの、国内全体と考えると2021年の普及率は約4%程度です。2022年には6%まで伸びたといわれていますが、まだ目標には遠いということで、人気の車種であるピックアップトラックから、まず力を入れるというアメリカの自動車メーカーの狙いがあるようです。

 ただテスラのように市街地の富裕層に人気の車種とは違い、大衆車である、ピックアップトラックのEV化にはまだ問題が多いようです。

 それはアメリカの国土が広大であることに関係しています。2021年にNHKが報じた現地の反応によると、広大な農地や荒野が広がる州に関しては、充電インフラの不足が指摘されているようです。仕事で使う場合、バッテリー切れになると仕事に大きな支障をきたすため、関心があっても買わない人もいるとのこと。

 なお、「ラム1500 REV」発表後のアメリカ国内でのSNSの反応を見ると、バッテリーの消耗なども懸念する声や、一体だれが買うのかターゲットが分からないと指摘する投稿もありました。

【了】

【ボンネットを開けると…】収納スペースになってる~(写真)

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