「中国スパイ気球」なのか…? 3日連続で撃墜 北米で次々に未確認飛行物体が見つかるワケ

中国じゃないかも? アメリカも呼び方を変更

 しかし、10日以降に撃墜された3つの飛行物体は、アメリカ国防総省によると最初の偵察気球とは異なる形状をしたそうで、現時点では所有国や用途については言明せず、名称も「object(物体)」と抽象的な呼び方に留めています。

 また撃墜理由も、これらに軍事的な脅威はなかったものの、物体の飛行高度が高度4~2万フィート(約1万2000~6000m)で、旅客機などの民間機が飛行する空域に近く、それらに対して危険を及ぼす可能性があったためとしています。

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カナダ空軍のCF-18「ホーネット」戦闘機(画像:アメリカ空軍)。

 このような戦闘機による撃墜事例が立て続けに起きたことに対して疑問をもつ人も多いでしょう。これだけ頻繁に起こるのはなぜでしょうか。

 ひとつは、このような気球がこれまでもアメリカやその近隣国の空域を飛行していたことが挙げられます。2月4日に「中国の偵察気球」と名指しされた飛行物体については、過去にもアメリカ上空を通過したことがあり、アメリカ空軍の発表によればトランプ前政権時代にも少なくとも3回の通過が確認されているそうです。

 つまり、これら飛行物体は、突然現れたのではなく、以前から複数が世界中の空を飛んでいたと考えられます。実際、2020年には4日に撃墜された高高度偵察気球と似た飛行物体が日本でも目撃されており、同様の事例は日米以外の国からも報告されています。

 そして、もうひとつの理由が、4日の撃墜をきっかけに、アメリカ軍の未確認飛行物体への対応が変化した点にあります。それは実際に出撃する戦闘機だけでなく、アメリカ上空の監視に就いているレーダー警戒システムにも当てはまります。

 アメリカ国防省のメリッサ・ダルトン国防次官補は、12日の記者会見において「先週土曜日(2月4日)に撃墜した中国の気球を考慮し、我々はレーダーを強化するなど、この高度の領空をより綿密に調査しています」と説明。これは監視するレーダーサイトを増やすことや、その電波の出力を上げるといったハードウェア的なものではなく、それを管理するシステム側の修正を指します。

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