安い! 地味! バレない! 各国がナメきっていた気球 高空でこっそりなにしていたの?

「ハイテク」の反対は「ローテク」で、そしてどのような分野においても注目を集めるのはハイテクの方といえるでしょう。中国の偵察気球は、そのような隙をついて大量に飛ばされています。技術と脅威は別のものさし、というお話。

気球の特長とその活用 飛行機が完全にとって代われないワケ

 気球は、空気より軽い気体を袋に入れて浮力を得る「軽航空機」に分類されます。これに対し、いわゆる固定翼機、回転翼機など空気より重いものは重航空機と呼ばれます。

 軽航空機はさらに、動力を持たない気球と動力を持つ飛行船とに分類され、これらは文字通り空気より軽いので、長時間にわたり高空にも浮かんでいられる、しかも安価、というのが大きな特徴です。

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中国偵察気球の大きさ比較(画像:osunpokeh、CC BY-SA 4.0〈https://bit.ly/41eKC6K〉、via Wikimedia Commons)。

 現代のジェット機が最も効率よく飛行できる高度は、エンジンの燃焼と空気抵抗のバランスがとれる高度10km前後の対流圏です。低軌道人工衛星は高度500kmの大気圏外を飛びます。気球はそれらのあいだの、高度50kmの成層圏まで上昇し飛行できます。

 こうしたことから気球や飛行船は、現在に至るまで気象観測など様々な用途の空中プラットフォームとして使われてきたほか、ネットワーク通信中継や偵察監視でコストパフォーマンスに優れた高高度飛行船を使おうという計画もあります。

 また従来、軽航空機は重航空機のように、細かい飛行制御はしにくいものでした。ところが最近の高高度飛行船は、気象データを取得してAIで気流を予測し、適当な気流のある高度へ自律的に浮上や降下をして飛行することができるものも登場しています。

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高高度気球通信プラットフォーム「プロジェクト ルーン」。インターネット回線整備用に開発されたが、地域ネットワークの充実にともない2021年1月に終了(画像:Konstantin Kosachev、CC BY-SA 4.0〈https://bit.ly/41eKC6K〉、via Wikimedia Commons)。

 そうした高空の気流利用は、戦時中に日本が先鞭をつけました。

 地球の北極および南極と赤道付近との空気の温度差、そして地球の自転という、ふたつを要因として、平均的に緯度帯30度から65度にかけ、上空を西から東へ偏西風が吹きます。また対流圏の偏西風を特にジェット気流と呼びます。1926(大正15/昭和元)年、日本の気象学者である大石和三郎がこのジェット気流を発見して発表しました。

 第2次世界大戦が始まって爆撃機が高空を飛ぶようになると、強い気流の存在が広く認識されるようになるものの、欧米などでは関心を引きませんでした。

 一方ジェット気流の存在を学術的に確認していた日本は、日本列島がアメリカ大陸の西側つまり風上にあることを生かして世界初の大陸間横断兵器である「ふ号兵器」、いわゆる風船爆弾を作り出します。文字通り風任せの確実性の低い兵器でしたが、レーダーにも映らず発見と迎撃がとても困難な曲者でした。アメリカは、これが生物兵器を搭載している可能性もあると考え、その対策に頭を痛めます。

【画像】UFO騒ぎの一因か 冷戦期東欧の空を騒がせた気球

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