ロシア専門家 小泉 悠が説く ウクライナ紛争「落としどころ」は? プーチンは拳を下ろすか

ロシアのウクライナ侵攻が始まってから2023年2月24日で1年を迎えました。泥沼の様相を呈し、いまだ終わりの見えないウクライナ紛争、戦火が止むことはあるのでしょうか。新進気鋭のロシア専門家が情勢をひも解きます。

ウクライナ首都防衛に成功、焦点は東部での激戦へ

 いずれにしても、ロシア側が描いていた「ごく短期間で、そう大きな犠牲を出すことなく勝てる」戦争というビジョンは、開戦から数日後には破綻が明らかになりました。この結果、ロシア軍は開戦から1か月でキーウ攻略を諦めざるを得なくなり、戦闘の焦点はウクライナ東部へと移っていったのです。ロシア本土に近い東部ならば兵站が比較的容易であり、ロシア軍が伝統的に得意とする火力戦で優位に立てるという思惑もあったと考えます。

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イギリスで「チャレンジャー2」戦車の訓練を受けるウクライナ兵士を激励するゼレンスキー大統領(中央)。右側に立つのはイギリスのスナク首相(画像:ウクライナ国防省)。

 しかし、ウクライナが簡単に敗北しないことを見てとった西側諸国が本格的な軍事援助を開始したこともあって、ウクライナ軍は東部においてもロシアの攻勢によく耐え、開戦から半年以上経った2022年9月にはハルキウ方面で大規模な反攻にさえ転じています。11月には、南部のヘルソン方面でも州都ヘルソン市を含む一帯がウクライナ軍によって奪還されました。

 これに対してロシア側は、第2次世界大戦後初めての部分動員で32万人弱の予備役を招集し、極東の予備装備保管基地からも旧式装備を大量に現役復帰させるなどして、軍事力の再建を図ります。また、ウクライナ戦線で戦う4つの軍管区(西部、南部、中央、東部)の司令官たちの上位に統括司令官職を新設し、年明け以降はこのポジションをゲラシモフ参謀総長本人が担うなど、指揮統制系統にも大幅な手直しを加えています。

 これ以降、ロシア軍が東部戦線でいくつかの都市を奪取し、ウクライナ側に奪われかけていた主導権を取り戻したのは、こうした大規模なテコ入れの結果と言えるでしょう。

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ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか

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