ロシア専門家 小泉 悠が説く ウクライナ紛争「落としどころ」は? プーチンは拳を下ろすか

ロシアのウクライナ侵攻が始まってから2023年2月24日で1年を迎えました。泥沼の様相を呈し、いまだ終わりの見えないウクライナ紛争、戦火が止むことはあるのでしょうか。新進気鋭のロシア専門家が情勢をひも解きます。

開戦から1年 予想される今後の展開は?

 今後について言えば、ロシアは、東部における戦果の拡張を図るはずです。ロシアは部分動員で招集した予備役の全力をまだ東部戦線に投入していないと見られるため、ウクライナ軍の防衛線に大きな穴が空いたら、控え置いていた予備戦力をただちに送り込んで決定的な打撃を与えようとするでしょう。

 他方、ウクライナ側にしてみれば、当面は東部戦線で持ちこたえつつ、ロシアの攻勢が弱まったところで反撃に転じようと企図している可能性が高いと思われます。したがって、今後しばらくの間は、「1:ロシア軍の攻勢が成功するのか」「2:仮にウクライナがそれに耐え切れた場合、反撃に出るだけの戦力の余裕が残されているのか」「3:ロシアやウクライナそれぞれの攻勢がどの程度の成果を挙げるのか」、この3点が焦点になるでしょう。

Large 20230225 01
BMP-2歩兵戦闘車をバックに写真に収まる2人のウクライナ兵。同国軍の士気は旺盛のようだ(画像:ウクライナ国防省)。

 このうちの「2」に関しては、年明け以降に取り沙汰されてきた西側からの軍事援助の拡充も大きな影響を及ぼすと捉えています。

 西側諸国はすでに多数の榴弾砲や旧ソ連製装甲戦闘車両(戦車を含む)、短射程の精密攻撃ミサイル、対レーダーミサイルなどをウクライナへ供与していますが、今年(2023年)1月には西側製の第3世代戦車や歩兵戦闘車、そして射程150kmを誇るGLSDB(地上発射型小口径爆弾)の引き渡しまで決まっています。

 ただ、西側諸国はこれまで、第3世代戦車の供与がロシアの過剰反応を招く「レッドライン」なのではないかという恐れを強く抱いてきたことなどから、実際、供与が決まってからも各国の動きは極めて鈍い模様です。ウクライナが強く求めてきた戦闘機やATACMSミサイルについては、まだ供与の決定さえなされておらず、仮に今すぐ決まっても戦力化には時間がかかるでしょう。

 最後の「3」については、ロシアもウクライナも互いの戦争継続能力を完全に破壊しえないだろうという見方が有力です。ウクライナがロシアの国家体制を軍事的に打倒できないのは自明であり、厳しい制裁もロシアの財政や軍需生産能力を麻痺させるには至っていません。

 一方、そのロシアも現状では東部のバフムト市ひとつを陥落させるのにも苦労している状況であることから、ロシアにとって圧倒的に有利な条件での停戦(たとえばプーチン大統領が開戦時に掲げた、ゼレンスキー政権の退陣と非武装中立化など)を強要できるほどの決定的成果を挙げるのは難しいのではないでしょうか。

 他方で西側の軍事・経済援助も、たびたび「息切れ論」が唱えられつつも、継続・拡大し続けています。

【戦争なければ教えることもなかった……】児童に不発弾の危険性を教える専門授業の様子

ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  3. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  4. ウクライナ軍の「1000機の無人機」がモスクワの製油所を襲撃!“タンクが吹き飛ぶ瞬間”を捉えた映像を大統領が公開 今後の影響は?
  5. ロシアのミサイル部品工場が「大炎上」 ウクライナ軍の航空機から発射した巡航ミサイルが「直撃」か
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス