「ジャンボジェット」VIP機まだまだ健在? 最新747-8の韓国大統領専用機が初来日 実は新造じゃない!
更新予定のVIP機はほかにも
世界的に、政府要人の外遊では関係者だけが搭乗する特別な飛行機が使われることが多いです。日本は航空自衛隊が、アメリカ、ドイツ、インドなどは各国空軍が運用しており、一目でその国の特別機とわかるデザインをしていることから、運航される際は大きな話題になります。
一方で、オーストラリア空軍のKC-30A空中給油・輸送機や、中国国際航空のボーイング747-8は、内部こそVIP仕様になっているものの、専用の塗装は施されておらず、外観からは要人輸送に用いられる特別機かどうか区別がつきにくくなっています。
また、カタールのボーイング747-8のように政府が所有・運営する航空会社が運航していることもあれば、インドネシアのように、ガルーダインドネシア航空のボーイング777-300ERに政府専用機として特別な塗装を施しつつ、普段は定期便に投入されているという例もあります。
韓国の「空軍1号機」の場合、自国の旅客機をVIP仕様に改造し、空軍が運用しているものの、あくまでもリース機材という位置づけです。
ボーイング747-8の契約期間は2021年から2026年までの5年間で、リース料は3003億ウォン(約307億円)だとか。それ以降に関しては、大韓航空とのリース契約を継続するのか、政府として機材を購入するのか、さらに4発機から経済的な双発機に切り替えるのかは現状、不明です。
なお、韓国空軍にはほかにも要人専用機として、「空軍2号機」のボーイング737-300(機体記号85101)と、「空軍3号機」のVCN-235(機体記号02050)などがありますが、いずれも短距離の移動がメインとなっています。
近年のエピソードとしては、2020年に船内で集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から韓国人乗客を帰国させるため、「空軍3号機」であるVCN-235が羽田空港へ飛来した例もあります。
ちなみに、ボーイング737-300に関しては1985年の導入から40年近く経っていることもあり、代替機材の検討が進められています。現行機材より大型の機体を導入すると見られており、新しい韓国のVIP機がどのモデルをベースにするのか、その動向にも筆者(深水千翔:海事ライター)は注目しています。
【了】
※誤字を修正しました(3月17日0時25分)
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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