大型トラック「高速80キロ規制」時代に合わない? 業界団体「撤廃を」 能率は段違い

安全は技術でカバー?

 大型トラックには2003年から、90km/h以上の速度を出せなくするリミッターの装着が義務化されています。大型トラックの速度超過が、重大事故を引き起こす要因となっていたからです。

 事故からドライバーを守る側面もあるものの、労働時間が増える側面もあります。法令を遵守し80km/hで左車線を延々と走るトラックもあれば、少しでも遅れを取り戻そうとするためか、それを追い越そうとするトラックも。しかし90km/h以上は出せないため、追い越しに時間がかかり、横並びとなったトラックが車線を塞ぐ光景もしばしば見られます。

 ヤマト運輸の資料によると、大型トラックの追突事故件数は年々減り、2010年の4275件から2019年には2245件まで減少。その間に大型トラックへの衝突被害軽減ブレーキの装着も義務化されたほか、新東名などでトラックの「後続車無人隊列走行」など自動運転技術を活用した実証実験も重ねられてきました。

 さらに政府は2024年度から、新東名の静岡県内約100kmを対象に、深夜時間帯における「自動運転専用レーン」の実証実験を行うとしています。2025年度以降は区間を拡大し、完全自動の「レベル4」自動運転トラックによる物流サービスへ発展させる構えです。

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新東名の最高速度120km/h区間。大型トラック向けの80km/h規制表示も並んで設置されている(乗りものニュース編集部撮影)。

 仮に自動運転専用レーンが、「レベル1」の自動運転、すなわち、前車に追従して加減速を支援するACC(オートクルーズコントロール)搭載の一般車も対象とする現実的なものになった場合、一般車と大型トラックとの速度差は一つの障害になる可能性も考えられます。

 国土交通省の物流政策課によると、現在は「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の最終とりまとめに向けた段階のため、大型トラックの速度規制の緩和について、方向性を示せる状況ではないといいます。物流をめぐる諸問題が顕在化し、自動運転社会へ向けたビジョンも開けていくなかで、速度制限のあり方についても見直しが図られるのでしょうか。

【了】

【え…もう来年から?】新東名「自動運転専用レーン」とは(画像で見る)

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コメント

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1件のコメント

  1. トラック運転手をしています。
    いつもトラックと乗用車の事故件数などの集計を見て思いますが、トラックと乗用車の1日の平均走行距離なども考慮して算出して欲しい。

    走行距離が長いほど事故の確率が増えるのは当然だと思うし、トラックが危険みたいな感じがして不快に思う。