ブルーインパルスの「スモーク」どんな仕組み? ショーの華になるまでの「マル秘実験」とは

スモーク発生装置が実装されるまで

 ブルーインパルスが当時所属していた第1航空団は1957年時点で、T-33練習機にスモーク発生装置を取り付けたことがありました。この発生装置は、空対空射撃訓練時に、曳航する標的を見つけやすくするためのものでしたが、これがアクロバットでも役立つか検討されていました。そこで1959年に来日した米空軍のサンダーバーズを見学し、同じ仕組みであったことで、導入する意を強くしたということです。

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航空自衛隊のブルーインパルス(画像:航空自衛隊)

 とはいえ、実際に試してみなければ有効か分かりません。見学から10日後の12月20日、いざF-86F戦闘機発生装置を装着し実験をしたのですが、行ったのは“秘密”の取り組みのため閉庁後の午後5時過ぎ。冬至も近い薄暗闇に、突然湧き出した煙がF-86Fを包み込み基地は驚きに包まれました。基地消防車も出動し、退庁していた団指令もあわてて引き返してくる騒ぎになったとか。実験は成功でしたが、担当者たちは大目玉を食らったということです。

 後に映画製作への協力を機会に、2代目の塗装デザインが東宝へ依頼された際には、ブルーインパルスを知らなかったデザイナーが上司から、「色のついた煙を吐いて曲技飛行する。あれや」と、ここでもスモークは目を引くものという話も残っています。

 風がない日のスモークは長く空に残り、ループで描かれ太く広がるさまは、アクロバットに一層迫力を与えます。各国のアクロバットチームでもスモークは欠かせませんが良く見ると、着色は各チームで濃淡があります。使っている染料の差か、はたまた色に対する国の好みの違いなのか気になるところです。

 白一色とはいえ、ブルーインパルスのスモークはアクロバットも含めて他国のチームに負けていません。今年も各地での展示飛行が楽しみです。

【了】

【写真解説】ブルーインパルス用T-4練習機の「特別仕様」をチェック

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コメント

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1件のコメント

  1. 基地が大騒ぎになったスモーク装置テスト というのは…
    地上でエンジンをかけて発煙させた
    ということ?