2機でHIMARSの300両ぶん戦える!? F-16戦闘機をウクライナが熱望するもっともな理由
F-16がウクライナの空で通用しうるワケ
あらゆる場所に、瞬間的に、正確に、大打撃を与えることができるF-16は、陸軍戦車部隊が突撃する前に敵を破壊することで、反抗作戦の要となり得ます。一方のロシア側も、実はこうした作戦の遂行をロシア空軍に期待していたことでしょう。ロシア空軍のSu-30やSu-35はF-16と同等以上に高性能な戦闘機であり、カタログスペック上は可能なはずでした。
ところがロシア空軍はミサイルや誘導爆弾にこと欠き、無誘導爆弾を使用しなくてはならず、その結果、地対空ミサイルの脅威に晒され大きな被害を受けたのに対し、ほとんど何の成果も挙げられませんでした。
現代戦闘機は高度なセンサーや誘導兵器、情報共有するネットワークと一体となることで初めて現代戦闘機たりえます。そしてそれらのひとつでも欠けてしまうと、たとえ2020年に生産された最新鋭機であろうともその戦闘能力はせいぜい1960年代から1970年代の水準にまで低下してしまいます。
逆を言えば、1970年代設計のF-16が現代戦に通用しうる理由もそこにあります。F-16は最新鋭機ではありませんが、供与されるとすれば、非常に大きな意味を持つことになるといえます。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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