実はドイツも造ってた「艦攻」 魚雷を抱いた複葉機Fi167どう使った? 最後に挙げた大金星

日米英以外で唯一、艦上攻撃機を開発したドイツ。見た目は旧式な複葉機ながら、高いSTOL性を持ったフィゼラーFi167は、本来の用途ではついに運用されませんでしたが、第2次大戦末期に意外な戦果を挙げ、複葉軍用機の掉尾を飾りました。

記録残した! Fi167の思いがけない大金星

 ドイツ航空省は試験機を含む初期生産型のFi167を発注しました。空母「グラーフ・ツェッペリン」は1938(昭和13)年12月に進水し、2番艦(艦名は「ペーター・シュトラッサー」を予定)も同年に起工しています。ところが、ドイツ海軍の空母計画は頓挫してしまいます。

 なぜなら、1939(昭和14)年9月に第2次世界大戦が勃発したことで、戦艦や空母などの大型艦は建造に時間がかかり、かつ資材を大量に使うというからという理由で計画が見直されたからです。「グラーフ・ツェッペリン」は工事が中断、2番艦は建造中止、3番艦と4番艦は計画そのものが中止になりました。

 その結果、「グラーフ・ツェッペリン」は1940(昭和15)年中に完成する見込みがなくなります。そうなると搭載予定だった艦載機も行くところがなくなってしまいました。特にFi167は、12機で生産が打ち切られ、そのうち9機が空軍の評価試験部隊に引き渡され、占領下オランダの地で1943(昭和18)年までエンジン試験機として使われました。

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キール造船所で進水式を迎えたドイツ空母「グラーフ・ツェッペリン」(画像:ドイツ連邦公文書館)。

 その後、「グラーフ・ツェッペリン」の工事が1942(昭和17)年に再開されますが、そのころには、さすがにFi167は性能的に陳腐化していました。結果、ドイツ空軍も時代遅れと判断、1944(昭和19)年に旧ユーゴスラビアにナチス・ドイツが傀儡政権として樹立した、クロアチア独立国の空軍へと売却されています。

 ただ、その売却先でFi167は意外な戦果を挙げています。大戦末期の1944(昭和19)年10月10日、クロアチア空軍のエース・パイロット、ボジダル・バルトゥロビッチが操縦するFi167が、イギリス空軍第213飛行中隊のP-51「ムスタング」戦闘機3機と空中戦になります。Fi167は被弾し、バルトゥロビッチも頭を負傷しますが、機体から脱出する前に後部機銃手のメイト・ジュルコビッチがP-51のうち1機を撃墜しました。手痛い反撃を食らったP-51は不時着で大破、パイロットは戦死したといいます。

 この空中戦は相打ちながらFi167にとって唯一の戦果となりました。しかも、これは第1次世界大戦以来、ヨーロッパ戦線で複葉機が敵機を撃墜した最後の戦果にもなりました。

【了】

【建造中止!】不運な母艦「グラーフ・ツェッペリン」を前後左右くまなく見る

Writer:

軍事雑誌や書籍の編集。日本海軍、欧米海軍の艦艇や軍用機、戦史の記事を執筆するとともに、ニュートン・ミリタリーシリーズで、アメリカ空軍戦闘機。F-22ラプター、F-35ライトニングⅡの翻訳本がある。

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