実はドイツも造ってた「艦攻」 魚雷を抱いた複葉機Fi167どう使った? 最後に挙げた大金星

空を飛ぶものは全て空軍のもの!

 艦載機を新規に開発するのは大変で、陸上機を空母用に改造するのが手っ取り早いです。そのためフランス、イタリアは陸上機からの改造を計画し、イギリスは陸上戦闘機「スピットファイア」の空母型「シーファイア」を採用しています。ドイツも空母で運用する戦闘機と急降下爆撃機は既存の陸上機から転用する計画でした。ただし、水平爆撃と雷撃を兼ねる艦攻は使える陸上機がないため新規の開発となりました。

 ここで開発を担当することになったのがフィゼラー社です。同社は偵察機や着弾観測、連絡機、ヘリコプターなど多目的航空機を得意としていました。特にFi156「シュトルヒ」は45m以内で離陸可能な、いわゆる短距離離陸(STOL)性能に優れており、その能力性能を活かして戦争末期にはイタリアの国家指導者ムッソリーニの救出作戦にも使われています。

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優れた短距離離着陸(STOL)性能を誇ったFi156「シュトルヒ」。Fi167のSTOL性は同機よりも優れていた(画像:SA-kuva)。

 フィゼラー社では、発着艦に適した低速性能と偵察機にも使えるというドイツ航空省の要求に対応可能な新型艦攻を開発。こうして生まれたのが、Fi167でした。1937(昭和12)年11月に初飛行した同機は、低速時の操縦性に優れており、前出のFi156「シュトルヒ」よりも優れたSTOL性を有していました。

 その優れた飛行特性を活かして、試験飛行では高度3000mから30mまでほぼ垂直降下を果たしたほどです。なお、複葉の主翼は後方に折り畳み可能で、固定脚は不時着水する際には投下できるようになっていました。

 こうして出揃った艦載機3種は、空母が完成した暁には、すべて空軍の航空隊が運用する計画でした。これは前述したように航空機を空軍が独占していたのに加えて、ドイツ海軍には航空機の本格的な運用実績がなかったからです。

 一見すると奇異に思えるかもしれませんが、同様の例としてアメリカも海兵隊の航空部隊を海軍の空母で運用するなどしています。現在の海上自衛隊でも、いずも型護衛艦を空母に改装中ですが、それが終わった暁には航空自衛隊のF-35B戦闘機部隊が艦上運用を始める予定であり、現実的な対応といえるでしょう。

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