片扉の狭幅車体にゴツいブレーキ… 京王井の頭線3000系“追憶の初期型”はいま、北陸で最後のとき

北陸鉄道8000系第1編成が、京王井の頭線時代の塗装で運行されています。特徴は昭和時代の通勤電車で見られた片扉。この車両が北鉄へ渡る前の最後の冬、井の頭線利用者だった筆者は通学前に、フィルムカメラ片手に追いかけました。

譲渡にあたり大きなスノープラウを装着

 さて、様々な差異のあった3000系一族のなかで、一際気になる存在だった第1、2編成は、“朝活”といっても日によって運用が異なるため、毎日撮れたわけではありません。それに当時のカメラはフィルムです。フィルムは現代よりも安価でありましたが、学生には負担が大きく、1日数枚と決めて撮っていたと思います。そのためフィルム時代は何かとカット数を節約しながら、チャンスを確実に仕留める心意気で撮っていたような……。

Large 20230521 01
現在の下北沢駅周辺の高架橋は架け替えられているが、以前はデッキガーダーであった。下回りを仰ぎ見ることができるので、パイオニアPIII-703形台車を狙った。第1編成の外側ディスクが鈍く輝く(1995年12月、吉永陽一撮影)。

 運行ダイヤはパターン化されており、平日朝7時台から8時台を狙っていれば、ある程度出会うことができました。冬の朝日が昇りきる前から沿線に待機し、吉祥寺行き、富士見ヶ丘行き、渋谷行きと、上下線を往復する第1、2編成を追い続け、朝ラッシュの渋谷方面は片扉の大きな窓に人々が圧し合う光景が印象的でした。

 第1、2編成は、新形式の1000系電車デビューによって廃車となりました。1995年の冬は富士見ヶ丘検車区(東京都杉並区)で1000系の第1、2編成と並ぶ姿があり、人生初の取材申請まで行って撮影したほどです。前出の通り3000系の第1、2編成は翌年、北陸鉄道へ旅立って行きました。

 北陸鉄道浅野川線は2両で1編成を組むため中間車は使用されず、京王重機工業で先頭車の電装化が施されました。パンタグラフのほか雪国らしい大きなスノープラウが装着され、随分と印象がごつくなりました。浅野川線に渡った片扉車はいま、最後の走りを見せています。

【了】

【写真】真新しい1000系と並ぶ初期型3000系

Writer:

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。日本写真家協会(JPS)正会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス