世界最速の潜水艦は「水中の暴走族」!? 人力/危険な燃料/核/ハイブリッド…150年の進化!

世界最速の潜水艦はソ連製

 潜水艦に最も向いた機関は、原子力機関です。原子炉の動作には酸素を必要としないため、大出力で継続的な高速を発揮でき、かつ長大な航続力も付与するなど、潜水艦にとって最適なものでした。だからこそ、1955(昭和30)年にアメリカ海軍が原子力潜水艦「ノーチラス」を建造して以降、現在でも多くの海軍で原子力潜水艦が導入・建造されています。

 その一方、安価で静粛性が高い通常動力型潜水艦を補完すべく、非大気依存推進技術(AIP)の開発も進められました。日本のそうりゅう型や、中国の039A級潜水艦には、低速ながらも長大な潜水時間を実現したスターリング機関が搭載されています。また日本では、世界に先駆けてリチウムイオン電池の潜水艦への搭載を進めており、そうりゅう型11番艦「おうりゅう」以降の海上自衛隊潜水艦は、この方式に切り替えることで、高速かつ静粛に、長時間の水中航行を実現しています。

 また、ドイツ海軍は燃料電池とディーゼル機関を組み合わせた212A級潜水艦を造るなど、潜水艦の進化は現在も顕著なものがあります。

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1983年10月、アメリカ海軍が撮影したK-162巡航ミサイル原子力潜水艦の航行シーン(画像:アメリカ海軍)。

 このように、近年では再び技術革新が始まっている潜水艦の搭載機関ですが、それでは、その恩恵を一番受ける「水中速力」の分野で、最も速い艦型というのは何になるのでしょう。

 それは旧ソ連(現ロシア)が開発、1969(昭和44)年に就役したK-162巡航ミサイル原子力潜水艦(のちにK-222へ改称)です。ただ、これは実験的な艦型のため、同型艦はありません。1971(昭和46)年に、現在でも潜水艦の世界最高速力である、44.7ノット(82.8km/h)を記録しています。

 実用的な艦型では、1971(昭和46)年より就役したアルファ(705)級潜水艦において、最大速力42ノット(77.8km/h)を記録しています。なお、ソ連は潜水艦に高速性を求めることが多く、現用のアクラI(971)級でも、35.2ノット(約65.2km/h)の速力を記録しています。

 では、ソ連(ロシア)以外の潜水艦では、どれくらいの速さなのでしょうか。原子力潜水艦はソ連(ロシア)以外だと、アメリカ、イギリス、フランス、中国などが建造していますが、その中で最速となるのが、アメリカのシーウルフ級原子力潜水艦です。

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