「総火演」はエンタメか 陸自の名物イベント一般公開中止もネット配信 “見せること”の意味

一般公開の中止が発表されて初の「総火演」。「ミリタリーファン向けのエンタメであり、自衛隊本来の任務ではない」といった意見も聞かれますが、インターネット配信は行われました。“見せること”にはどのような意味があるのでしょうか。

重要な情報発信の場

 筆者ら(月刊パンツァー編集部)が総火演の取材を始めたころは、戦車や火砲が火力戦闘の主役であり、射弾数は今より多いものでした。ひたすら射撃の迫力で観客を驚かそうとしているのではないかと思ったほど。しかし総火演の目的は先述の通り、ただ実弾射撃の迫力を感じさせることではありません。

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東日本大震災が発生した2011年の総火演で「がんばろう東北」というノボリを掲げる90式戦車(2011年8月28日、月刊パンツァー編集部撮影)。

「総火演なんて一部のミリタリーファン向けのエンタメであり、自衛隊の本来任務ではないのでやめてしまえ」という意見には賛同しません。観客を入れた狭い射場に、実弾を装填した特性の異なる戦車や装甲車、火砲、航空機などが、秒単位で統制され次々に進入しては射撃し退場するというのは、とても高い練度が必要なことです。また、未舗装で吹き曝しという過酷な会場で何万人という観客を整理誘導するのも、実は災害時の避難誘導訓練の意味もありました。

 総火演はエンタメではなく観客まで参加する“演習”であり、自衛隊の練度や日本の防衛力を推し量る指標として、世界の軍事関係者は注目しています。東日本大震災が発生した2011(平成23)年でも総火演は実施されています。それにはどんな災害が起きても日本の防衛力は動じないという、世界に向けた強いメッセージが込められていたのです。

「多次元統合防衛力の骨幹としての陸上自衛隊の役割について、国内外へ情報発信し、陸上自衛隊に対する更なる理解と信頼を獲得する」ために、インターネットを通じて発信していくのは時代の流れだと筆者は思います。

【了】

【写真】コロナ禍「一般公開中止」の総火演とは

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