旧日本海軍艦で“最も長く現役だった艦”とは ご長寿揃いだった明治生まれたち 米軍も興味津々?

米軍が関心抱くほど古かった現役艦も

 1900(明治33)年6月20日に就役した、装甲巡洋艦「八雲」も長期現役艦でした。日露戦争では黄海海戦、日本海海戦に参加、第1次世界大戦では青島攻略作戦に従事します。1932(昭和6)年に海防艦となりますが、少尉候補生の遠洋航海艦として、たびたび海外を訪問しています。

 太平洋戦争中の1942(昭和17)年に、一等巡洋艦に戻され、海軍兵学校生徒の練習艦任務に従事。1945(昭和20)年には、20.3cm主砲を12.7cm高角砲に換装して、対空戦闘能力を高めました。終戦時にも航行可能であったため、1945(昭和20)年10月5日に除籍されたものの、その後は特別輸送艦として、中国や台湾からの復員輸送に従事しています。この時、老朽化で機関の調子が悪く、新造時20.5ノット(約38km/h)出た速力が、9ノット(約16.7km/h)にまで低下していたそうです。

 特別輸送艦「八雲」を見たアメリカ軍は、艦首水面下に衝角を突き出した古い外観に、大きな関心を示したと伝えられています。

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旧日本海軍の装甲巡洋艦「八雲」(画像:アメリカ海軍)。

 こうして老体に鞭打って日本国民のために動き続けた「八雲」は1946(昭和21)年6月26日、特別輸送艦としての任務を解かれ、翌1947(昭和22)年に解体されました。特別輸送艦の期間を含めると46年間、現役艦であり続けたことから、この艦も「常盤」に負けないほどの“勤労”艦と言えるでしょう。

 このように見てみると、旧日本海軍には意外と長生きした艦が多いように思えます。ちなみに海上自衛隊では、生涯第一線の護衛艦であり続けた「ひえい」(退役済み)が36年4か月で最長。練習艦に転籍したものまで含めると、現用の「はたかぜ」が護衛艦時代から通算で37年以上使用され続けています。

「はたかぜ」は2023年6月現在、まだ現役。とはいえ、さすがに艦歴47年5か月を超えることはなさそうです。

【了】

【戦艦だった二代目とは段違い!】初代「大和」旧海軍で元も長生きした艦(写真で見る)

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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