日本一古い列車愛称「さくら」の長~い歴史 2度の消滅から新幹線で復活 物議もごもっとも?
再々復活は新幹線として
しかし、新幹線の延伸や航空網の発達・普及により、寝台特急は衰退を始めていました。1984(昭和59)年より、3段式B寝台が2段寝台に改造されます。さらに、初めての4人用B個室寝台「カルテット」が連結されるなどテコ入れされましたが、利用が伸びず1997(平成9)年に連結中止。食堂車の営業も1993(平成5)年に終了しており、売店となっていました。
「さくら」は1994(平成6)年より、佐世保編成にもA寝台車と「カルテット」、食堂車(ただし売店)を連結していましたが、佐世保編成は1999(平成11)年に廃止されます。生き残った長崎編成も、B個室寝台「ソロ」1両と、B寝台車4両の短編成となり、寝台特急「はやぶさ」との併結となりました。そして2005(平成17)年、ついに廃止されます。その当時のダイヤは、東京18時3分発 長崎13時5分着、長崎16時50分発 東京11時33分着でした。
ところが2011(平成23)年、「さくら」は九州新幹線の列車愛称として再度復活します。愛称は公募され「さくら」が1位を獲得。新大阪・博多~鹿児島中央間を4時間で結ぶ速達列車となりました。
この時、最速達列車に「みずほ」と命名されたことは、寝台特急時代に「みずほ」が「さくら」を長く補完してきた手前、立場が逆転したとして、鉄道ファンを中心に物議を呼びました。ただ、戦前は超特急だった「つばめ」が各駅停車になってもいますが。
新幹線としての「さくら」は運行開始から現在まで、基本的にはN700系電車7000・8000番台で運行されていますが、博多~鹿児島中央間の一部では、800系電車も使われています。
鹿児島という地は「櫻」時代の終着でもあり、およそ70年の時を経て“帰って来た”ともいえるでしょう。
【了】
※一部修正しました(6月25日22時40分)。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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