結局「原付のまま」でGO!? 電動キックボード等「特定原付」ナンバープレート交付遅れでなし崩しスタート 全てが中途半端!

特定原付に“従来のナンバープレート”交付!?

 専用ナンバープレートの交付が7月1日に間に合わない自治体で、特定原付の課税届出申請をした場合はどうなるのでしょうか。松本氏は言います。

「7月4日火曜日以降になるとの回答があった団体については、業者への発注の集中に伴うナンバープレートの納品遅れによるものと聞いておりまして、交付開始までの間は“従来のナンバープレート”を取り付けて走行することとなりますが、走行時の更なる安全性を確保する観点から、早期の交付開始に向けた取り組みを要請しているところでありまして引き続きフォローアップに努めてまいりたい」

 ただ、総務省自動車税制企画室は、全国で公布の準備が整うめどについて明らかにしていません。また、特定原付のナンバープレートが間に合わない状態で一般原付と同じサイズのナンバープレートが交付された場合にも、あとから交換するなどの次善策はありません。

 総務省が担当するナンバープレートのほかにも、国土交通省が担当する車両上の規格で、車両の前後で認識が可能な緑色の「最高速度表示灯」を装備することや、特定原付であることを示す車体に貼付する「性能等確認シール」でも識別可能なので、ナンバープレートが用意できなくても、それを補う識別方法があるという認識のようです。

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そもそも7月1日に間に合わせる気がなかったのか。松本剛明総務相(中島みなみ撮影)。

 しかし、車種の識別は運転する当事者や、違反を指摘する時だけに必要なわけではありません。車両の識別は同じ道路を通行するほかの車両が、事故を防止する予測運転をする上で大きなヒントになります。例えば、右折時、一般原付は中央に寄って右折(※二段階右折不要時)する場合がありますが、特定原付の場合は、すべての右折時で、交差点を直進、左端、左端を二段階右折する必要があります。

 加えて、最高速度表示灯についても2024年12月22日まで装備が猶予されています。性能等確認シールは動いている車体を識別できるほど大きくはありません。結局、どの識別方法も中途半端で決定打に欠いています。

 自転車並みの運転をする車両に、原付バイクと誤認させるようなナンバープレートの装着を容認することは、すべての運転者のためにならないのではないでしょうか。

【了】

【え…ココで晒されるの?】これが警視庁の「電動キックボード取締り現場」です(写真)

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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