「ラファール」何しにニッポンへ? フランスの虎の子戦闘機 実は前から予告されていた初来日

日仏の防衛協力は新ステージへ

 今回、日本のメディアでは、フランスが突然、虎の子「ラファール」を送り込んできたかのように報じられています。しかし実のところ「ラファール」の来日は、今から約3か月前の4月21日にフリゲート「プレリアル」へ座乗して横須賀に寄港した、フランス軍の太平洋管区統合司令官ジョフロワ・ダンディニエ海軍少将によって予告されていました。

 ポリネシアなどに海外領土を持つフランスは、力による海洋支配を試みている中国の姿勢に神経を尖らせており、軍事力を利用して中国を牽制しています。

 ダンディニエ海軍少将が座乗した「プレリアル」も横須賀寄港に先立ち、4月9日から10日にかけて、中国の人民解放軍が軍事演習を行っていた台湾海峡を航行。外務省の報道官も「(フランスは)台湾海峡の現状維持を支持」しており、「インド太平洋は開かれた地域であるべきだ」と述べています。

 フランスは単独でインド太平洋地域でのプレゼンスを発揮する一方で、地域の有力国家である日本と、防衛協力関係の強化にも務めています。

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2022年11月にインドネシアのジャカルタで開催された防衛装備展示会「インドゥ・ディフェンス2022」に参加したフランス航空宇宙軍の「ラファール」(竹内 修撮影)。

 フランス海軍と海上自衛隊は2021年から共同訓練「オグリ・ヴェルニー」を開始しており、同国陸軍も2021年5月に多国間訓練「ARC21」へ参加して、日本国内で陸上自衛隊らと共同訓練を行っています。

 今回「ラファール」と航空宇宙軍が来日して、航空自衛隊と共同訓練を行う事で、日仏両国の防衛協力は、また一つ上のステップに進んだと言って差し支えないと筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)は思います。

【了】

【狙いは…?】すでにフランスとも大規模訓練を行った海自と陸自(写真)

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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