任務は“見張り”@絶海の孤島 空自「移動式レーダーサイト」部隊の生活 緊張高まる台湾方面

北大東島だけでなく小笠原・父島にも計画

 また、第2移動警戒隊にはトヨタ・ランドクルーザーをベースにした「先導車」なる車両もありました。こちらはJ/TPS-102Aなどが展開する際、それら車両を先導するために用いるものです。なお、市販車を転用した支援車両であるため、日常の連絡業務や人員輸送などにも多用するそうです。

 ルーフ上部にはお椀をひっくり返したような半円形のものがありますが、これは衛星通信装置とのこと。携帯電話だけでなく既存の無線なども通じない場所においても通信を確保するために装備しているとのハナシでした。

Large 230727 rader 03

拡大画像

第2移動警戒隊が装備するJ/TPS-102Aの監視処理装置(左奥)と発電機(右手前)。空中線装置と合わせ、この3台で1セット(柘植優介撮影)。

 冒頭に記した北大東島では、2023年7月20日に地元住民を対象にした説明会が開かれています。このとき、防衛省側が行った説明では、島内の村有地計8ヘクタールを取得し、そこに業務並びに居住用の隊舎などを設置。約30名の隊員とともに移動式警戒レーダーを展開させるとのことでした。

 防衛省ではこの北大東島以外にも、太平洋側の「警戒監視の空白域」を埋めるために小笠原諸島の父島にも移動警戒隊を配置しようと計画しています。

 このような情勢を鑑みるに、「自走式レーダーサイト部隊」と形容できる移動警戒隊の重要性は、今後より一層増えることは間違いなさそうです。

【了】

【走行時と運用時で姿チェンジ!】移動式レーダー「J/TPS-102A」&衣食住を支える自活車の内部も(写真)

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。