飛行機のタイヤはシンプルすぎ? 車と違って縦溝だけでもスリップしないワケ ただめっちゃ削れる!

ライバルメーカーでタイヤ再生することも

 飛行機用タイヤ独特といえる点はほかにも。着陸時、静止状態からいきなり速度200km/h以上で回転し始めるという過酷な環境も、そのひとつです。飛行機が滑走路に接地した際、白い煙のようなものが上がりますが、これはタイヤが摩擦によって発煙しているからです。

 クルマで例えるなら、速度200km/h以上からフルブレーキングしているようなもので、その分接地面は削れていきます。このため、走行距離に比較すると消耗しやすいのも飛行機用タイヤの特徴といえるでしょう。

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羽田空港に着陸するボーイング787。主脚のタイヤから白煙が上がっている(咲村珠樹撮影)。

 ただ、削れていくのは接地面だけなので、大型機では消耗したら丸ごとタイヤ交換するのではなく、接地面のみを貼り替える「リトレッド」という手法で数回リサイクルすることもしばしばだとか。リトレッドされたタイヤを見ると、グッドイヤーのタイヤにミシュラン、ミシュランにダンロップなど、タイヤ本体とリトレッドされたブランドが異なっている場合も見受けられ、なかなか興味深いものです。

 今ではボーディングブリッジでの搭乗が多く、地上から飛行機に近づく機会は少なくなってきていますが、LCC(格安航空会社)などを利用する場合は、タラップ車で乗り降りすることもあるため、旅客機のタイヤを見るタイミングがあったりします。また各地で行われる航空祭やエアフェスタなどのイベントでは実機が展示されたりもします。

 もし機会があれば、タイヤの方にも注目してみてください。普段なら気付かない、面白い発見があるかもしれません。

【了】

【ライバルメーカーだけどお構いなし】異なるブランドが記載された再生タイヤ(写真)

Writer: 咲村珠樹(ライター・カメラマン)

ゲーム誌の編集を経て独立。航空宇宙、鉄道、ミリタリーを中心としつつ、近代建築、民俗学(宮崎民俗学会員)、アニメの分野でも活動する。2019年にシリーズが終了したレッドブル・エアレースでは公式ガイドブックを担当し、競技面をはじめ機体構造の考察など、造詣の深さにおいては日本屈指。

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