バカにできないぞ戦闘機版「軽自動車」 ポーランド“爆買い”韓国製FA-50の実力 食われる“小型”戦闘機
他にもあるぞスゴイ「軽」戦闘機
練習機をベースに開発された「軽」戦闘/攻撃機でありながら、本格的な戦闘/攻撃機に匹敵する能力を持つのは、FA-50ブロック20だけではありません。イタリアのレオナルドがM-346練習機をベースに開発した軽戦闘/攻撃機型のM-346FAも、そんな航空機の一つです。
M-346FAにはレオナルドが開発した「グリフォ」レーダーが搭載されます。グリフォは軽戦闘機に分類されることもあるブラジル空軍のF-5EM/FM戦闘機などに搭載されている多機能火器管制レーダーで、グリフォレーダーを搭載したM346-FAは、FA-50ブロック20と同様に中射程空対空ミサイルの運用が可能となります。
M-346FAにはイスラエルのラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズが開発した目標追跡・照準ポッド「ライトニング-5」と偵察ポッド「Recce Lite」の統合も予定されています。実現すればM-346FAは高い精密誘導兵器の運用能力と偵察能力も持つことになります。
現在、M-346FAは2019年に匿名の顧客から6機の受注を得たに留まっていますが、2023年5月には西アフリカの大国であるナイジェリアの大統領府が同機を導入する方針を明らかにしており、今後も受注の拡大が望めそうです。
日本の自動車市場そっくり?世界で起こっていること
マレーシアがFA-50Mの導入にあたって行った競争入札には、本格的な戦闘機であるロシアのMiG-35、インドのテジャス、中国とパキスタンが共同開発したJF-17「サンダー」も参加していました。これらにスウェーデンのJAS39「グリペン」を加えた比較的軽量な戦闘機は、輸出市場では苦戦を強いられています。
この状況、日本の自動車市場にたとえると分かりやすいかもしれません。
日本では、基本性能が優れている上に装備も充実した軽自動車に押され、小型車(登録車)が市場で精細を欠いている感がありますが、世界の戦闘機市場もそれと同様です。小型に分類される機種が、練習機をベースに開発された「軽」戦闘/攻撃機にシェアを食われている――そうした構図があるのではと筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)は思います。
※一部修正しました(8/22 10:56)
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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