装甲マシマシ? ウクライナ最前線に「魔改造レオパルト2」投入か 改造の真意は?
死傷率の低減以外に士気向上も
というのも、戦車兵は戦闘機パイロットほどではありませんが、特殊な技能を求められる兵士であり、その養成には時間も費用もかかるため、できれば死傷者を低減させたいからです。たとえ戦車が全損してしまっても、乗員さえ無傷なら、別の戦車をあてがうことで比較的短時間で戦力を回復させることが可能です。
一方、乗員が死傷して戦線から離脱するようだと、いくら高性能な戦車が十分な数あったとしても、それを乗りこなせる乗員が不足して、動かすことができず戦力にはなり得ません。
ウクライナには、ドイツのみならず各国から「レオパルド2」が引き渡されているので複数の型式が同軍によって運用されていますが、そのなかで最も多くの数を占めるのが、同車の初期型であるA4です。
ただ、レオパルド2A4は、それより後に登場したA5型やA6型などと比べると、どうしても防御力が見劣りします。そこでウクライナ軍は、レオパルド2A4に対し、独自の防御力強化を施しています。これが、冒頭に記したウクライナの独自改修です。
同じレオパルド2でも、タイプによって防御力に違いがあるため、こういった改修を施すことで、被弾した際の乗員の生残率を向上させるだけでなく、初期型2A4に乗る兵士らの士気を向上させる効果もあると筆者(白石光:戦史研究家)は推察します。
では、具体的にはどのような改修が施されているのでしょうか。レオパルド2の初期型A4と後期型A6で比べた場合、防御力の差は、前者では垂直に切り立っていた砲塔前面の防盾部に対して、後者は砲塔前面左右と同側正面に楔(くさび)形の空間装甲板を装着したことが主な違いです。加えて、さらなる改良型のレオパルト2A6Mでは、車体底面に装甲板を増設して、地雷に対する防御を強化しています。
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