「やっぱ空母つくった方が…」戦前に幻となったイタリア空母2隻の顛末 “とりあえず改造で”が運の尽き?
改修が始まるもその後たどった運命は…
「スパルヴィエロ」は、30機程度の艦載機搭載を目的に上部構造物を撤去するなどの改造を施しましたが、結局、完成間近となった1943(昭和19)年3月に建造中止となります。戦局の悪化により、簡易的な空母を持っても使う機会がないと判断されたからです。
「アクイラ」は基準排水量2万3130トン、全長235.5m、艦載機は51機と、日本の隼鷹型に近い規模が予定されていました。しかし戦時中のうえ、一度も空母を建造したことのない手探り状態のなかで建造は難航。戦局悪化による資材不足にも悩まされます。さらに不幸は重なり、搭載していた蒸気タービンでは最高船速30ノット(55km/h)確保は困難と判断され、別の艦船用の蒸気タービンを付け替える作業なども追加されました。結局、完成度が80%程度の段階でイタリアが降伏してしまいます。
同艦はドイツに接収されて以降も細々と艤装工事が続行されましたが、1944(昭和19)年6月16日の空襲により損傷し、建造は断念されます。
最後は両艦とも、連合軍のジェノヴァ港への侵入を防ぐため閉塞艦として自沈されることになり、「スパルヴィエロ」は、1944(昭和19)年10月5日に自沈。「アクイラ」は、閉塞を阻止しようとしたイタリア共同交戦海軍(連合軍側になったイタリア王国海軍)のチャリオット特殊潜航艇による攻撃を受け1945年4月19日に損傷し、閉塞の役目は果たすことなく、結局ジェノヴァ港で自沈処分となりました。
なお、搭載する艦載機の開発も難航しており、仮に空母自体が完成しても、積む艦載機がなく、無駄だったのではともいわれています。
【了】
Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)
ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。
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