自転車を歩道から排除? 青梅街道で「自転車通行可」標識を一斉撤去 新宿~練馬 何がどう変わる?

歩道通っていいよ、のダブルスタンダードを解消?

――そもそもなぜ、どのような条件で自歩可規制の見直しが行われるのでしょうか?

 歩道上における歩行者対自転車の交通事故が増加傾向にあることや、新たな電動モビリティと自動車、自転車、歩行者の共存を図り、交通の安全を確保する上で自転車の交通秩序を整序化する必要があることなどから、自転車の総合対策の一環として、自歩可規制の見直しを推進しております。

 交通規制基準では、自歩可規制を実施する場合、原則として歩道の有効幅員(植栽等を除き、歩行者が通行する部分の幅員)が3m以上あることが要件とされています。このため、歩道の有効幅員が3m未満の場所については、原則として自歩可規制を見直しすることとしております。

※ ※ ※

 逆にいえば、“自転車は車道を走行”としつつ、この自歩可規制があることで、ダブルスタンダードと形容できる状況だったわけです。

 一方で前出のとおり、この規制がなくても、高齢者や子どもなど自転車で車道を走行するのが危険な場合は、例外的に歩道を走行することもできるとされています。警視庁の例ではありませんが、この例外的に自転車が歩道を走れるケースを“わかりやすく示す意味で” 自歩可の標識を残している、というところもあるようです。

 自歩可規制の見直しなどについては、2011年の段階で警察庁から都道府県警へ通達が出されており、それ以降、自転車通行帯や矢羽根上状のペイントによる「自転車ナビライン」などの整備が進みました。

 その一方で撤去が進んだものの一つが、自歩可の歩道どうしをつなぐ横断歩道の「自転車横断帯」です。これが削り取られ、横断歩道のゼブラ部分が延長された箇所が各所で見られます。

 しかし自歩可規制の見直しがあまり進まなかったのか、2022年1月に警察庁は改めて通達を出しています。交通事故の件数が減少するなか、自転車対歩行者の件数は横ばいで推移しており、うち半数近くは歩道上または横断歩道上で発生しています。前出の警察庁の通達はそういった現状を踏まえてのことです。

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青梅街道と交わる中野通りでは、自歩可の標識は健在。2023年9月(乗りものニュース編集部撮影)。

 さらに、警視庁も言う「新たな電動モビリティ」との共存も大きなトピックでしょう。今年7月には電動キックボードなどのための新区分「特定小型原付」や、歩道を走れる「特例特定小型原付」もスタートし、都市部を中心として、以前より車道・歩道とも多様なモビリティが走る状況が生まれています。

 自歩可の標識は、撤去されたところで変化に気づきにくいかもしれません。これにより「自転車は車道」はわかりやすくなるでしょうか。実態として、大きく変わる部分は少ないともいえそうです。

【了】

【あー確かに見なくなった!】道路から削り取られた「自転車用」設備(写真)

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コメント

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3件のコメント

  1. ルール間違いの、ひどい記事です。

    ”この「普通自転車歩道通行可」の標識があるとき、自転車は左右どちらの歩道も通行ができます。”

    とありますが、法的に間違いです。
    自転車が通行できるわけではなく、特例である普通自転車が徐行できる場合があるだけです。
    書き間違いというレベルではなく、自転車が普通に通行できると思っているから、「ダブルスタンダード」とか、「自転車通行帯など自転車向けインフラの整備」とかの表現が出るのだと思います。

    勘違いしてはならないのは、「普通自転車歩道通行可」の標識が有っても、自転車が普通に走れるのは車道だけです。原付や自動車と同じです。ダブルスタンダードでは有りません。
    ですから、自歩可でも、車道の自転車通行のインフラ整備は必要です。

    実際にはルール違反が横行していて、徐行義務違反が%100ですが、メディアとしてそれを受け入れるのではなく、ルールの本質をちゃんと見て記事を書いてください。
    この記事を見た読者は、自歩可の歩道を、自転車で普通に通行してしまいますよ。違反助長している記事になっていることを理解し、ちゃんと訂正してください。

  2. 自転車に対して「歩道ではなく,車道を走行してください。」とアナウンスすることは,大切ですが…
    それと同時に,「進行方向2車線以上あれば,最も左側の車線ならキープセンターでもキープライトでも良いですよ。」とアナウンスしてほしいものです。

    こう書くと「自転車は,車道の左側端を通行しなければいけないというルールですよ。」と言ってくる人が居ますが,それは進行方向1車線以下の場合です。(道路交通法18条)
    進行方向2車線以上ある場合は,そのルールではなく別のルールが適用され,そこには『最も左側の車線を走れ』とは書いてありますが『自転車は左側端を走れ』とは書いてありません。(道路交通法20条)

    • 子鹿物語さんのおっしゃるとおり、片側二車線以上有る場合、自転車は第一車両通行帯の中であれば、自転車も真ん中でも右端でも通行できます。
      真ん中を走れば、他の車両が抜くときは第二車両通行帯を通るのがルールなので、お互い安全でスムーズですね。
      もっとこのルールをアナウンスしてほしいと、私も思います。

      しかし、大事なのは、片側二車線以上有る場合、車両通行帯の規制をかけられますが、規制をかけているとは限らないことです。
      警視庁管内の場合は、ほぼ%100車両通行帯の規制をかけているそうですが、他の道府県ではそうではないようです。
      私の知る限り、徳島県は警視庁管内と同じようですが、そのそも、片側二車線以上有る道路が本当に少ないので、%100となるそうです。
      関東地方では、神奈川県内はごく一部の道路にかかっているそうですが、埼玉県、群馬県は、皆無のようです。

      ちなみに、複数車線有る道路の交差点部分で、右折や直進や左折などのレーンが決められている場合は、その交差点のところだけ(車線変更禁止の部分?)は必ずこの車両通行帯の規制をかけているそうです。