【空から撮った鉄道】解体中のレンガ造「御料車庫」最後の姿 線路のジャングル大井町周辺「特急はこう向きを変えたのか」

大井町駅に隣接するJR東日本 東京総合車両センターは、都心に一番近く、日本初の鉄道工場がルーツです。東海道本線、横須賀線、東急大井町線の線路が縦横にあり、敷地の一部は再開発の真っ最中です。

この記事の目次

・東京総合車両センター 一部は大規模施設に
・展望車の方向転換に使われた品鶴線
・大正初期のレンガ構造を垣間見る
・2段構造の車両基地と、平面交差する蛇窪信号場を俯瞰

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東京総合車両センター 一部は大規模施設に

 2023年7月の昼下がり、クルマで大井町駅を南北に貫く都道を走り、信号待ちでふと右手を見ると、東急大井町線高架橋の隙間から解体中のレンガ建物が視界に入りました。何かの古い工場かと思われる建物は、実はお召し列車の車両を格納していた御料車庫です。

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西方向から東京総合車両センターとその周辺を俯瞰する。左端は大崎駅で、弧を描くのが山手線。右側が大井町駅、左上の先が品川駅方向。東京総合車両センターを中心にいくつもの線路が絡み合っている。東急大井町線の隣にある車両センター敷地は、まだ再開発の手が入っていない(2012年8月22日撮影)。
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東急大井町線(手前の高架橋)の隣が再開発地区となった。団地や商業施設があった場所は更地となり、御料車庫のレンガ壁面が現れた。奥の線路は、湘南新宿ラインなどが使用する貨物線(2022年6月16日撮影)。

 JR東日本のプレスリリースによれば、JR東日本グループは品川区と共に東京総合車両センター敷地の一部を再開発。2023年4月より、大規模複合施設「大井町駅周辺広町地区開発(仮称)」に着手しています。JR東日本の開発街区の竣工は2年後を予定しており、ホテルと賃貸住宅棟、オフィス棟が誕生し、品川区は区庁舎を新設します。

 また大井町地域の防災力を強化し、災害時に避難所となる約4600平方メートルの広場を整備。街区の建物には、帰宅困難者を約3000名受け入れられるスペースも設けます。今回は、これから激変するであろう大井町周辺の空撮を紹介します。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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