ドイツ戦車が「角張りフォルム」を捨てたワケ 流線形みたいな「ティーガーII」に盛り込まれた"反省"とは

避弾経始はドイツ戦車以外にも大きな影響を与える

 T-34との戦訓を強く反映した結果、1944年中頃から本格的に生産が始まった「ティーガーII」は傾斜の多い車体デザインとなりました。その2年前から生産された「ティーガーI」も独ソ戦中に完成した機体ではありますが、T-34の影響が大きくなる以前に計画された車両で、既存のドイツ戦車を発展、大型化したようなデザイン。対して「ティーガーII」は、同じくT-34の避弾経始を参考にして作られた「パンター」中戦車を大型化したような外見になっています。

 しかし、「ティーガーII」はもともと「ティーガーI」が搭載できなかった、クルップ製の「8.8cm KwK 43 L/71」という「ティーガーI」の8.8cm砲より砲身が長く、対戦車戦に優れた戦車砲を使用するために計画されました。外見こそ違うものの、エンジンやトランスミッションは「II」も同じもの、もしくは発展させたものが使用されており、動力や足回りでは「ティーガーI」の発展型だったことがうかがえます。

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第二次大戦初期のドイツ戦車のデザインを色濃く残す「ティーガーI」(画像:パブリックドメイン)。

 避弾経始に影響を受けたのは「ティーガーII」や「パンター」など戦時中のドイツ戦車だけではありません。T-55やT-72など戦後のソ連戦車はもちろん、日本の陸上自衛隊で2023年度中の退役が決まっている74式戦車や、素材の異なる防御板を何枚も重ね合わせて作られた、複合装甲が当たり前となったアメリカのM1「エイブラムス」やイギリスの「チャレンジャー2」など第3世代以降の主力戦車でも、一部で採用されています。

【了】

※一部修正しました(9月27日22時33分)。

【ホントだ! 分厚くなってる】斜めにするだけに防御力が向上する避弾経始とは(写真)

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コメント

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1件のコメント

  1. この写真のティーガーのどこが角ばっていないというのだろうか?
    傾斜しているだけで角ばっているのは同じだろうに