「空の民主化」=「空爆の民主化」? 誰でも飛ばせるドローンで一変した戦場

過酷だった観測班のリスク減へ

 砲兵の間接射撃時には、目標を直接確認して、射撃を誘導する砲兵観測班が必要になります。観測班は車両、航空機、または徒歩で目標が視認できる地点まで前進しなければならず、リスクもあり、高い練度と専門性が要求されます。

 しかし、ドローンによる観測が可能になったことで状況は一変します。ドローンオペレーターには従来の観測班ほどの練度は必要なく、リスクも少なく即応性も柔軟性も持ち合わせます。大部分の砲撃はドローンの観測で実施されていると思われ、地上の戦車や歩兵にとっては最悪のペアリングであり、とにかくドローンの眼から逃れようと大わらわです。

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陸上自衛隊が装備する偵察監視用のドローン「スカイレンジャー」(撮影:月刊PANZER編集部)。

 ドローンの進出により、それほど訓練を受けていない人員でも低コストで偵察監視、砲兵、対戦車戦などの任務がこなせるようになったのは大きなイノベーションといえます。空が民主化されたことによって、従来の観測班の領域も民主化(浸食か)されてきたようです。

 ドローンが登場した時、筆者らのラジコン機仲間は「飛ばすのが簡単すぎて面白くない」と感想をもらしましたが、それには「占有域」が侵されたような感覚もあったようです。飛ばすこと自体が目的ではなくなり、飛ばして別の目的を達成できるのにも違和感を覚えたのかもしれません。空軍関係者にもドローンに対して根強い反発があるといいますが、これに似た感覚なのでしょうか。「民主化」とはよくいったものです。

【了】

【え、ぶつかる!!】自爆ドローンが“自ら”捉えた「命中寸前」

Writer: 月刊PANZER編集部

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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