「水素がガソリンより安い」時代はすぐそこ? カギを握る水素運搬船&川崎“水素の街”構想とは

どれくらい安くなるのか?

 川崎市の福田紀彦市長は「今回の協定の大きなきっかけとなったのは、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のGI(グリーンイノベーション)基金事業で、液化水素サプライチェーン商用化実証の受け入れ地として川崎臨海部が選定されたことだ」と背景を説明します。

「液化水素サプライチェーンの商用化実証」は川崎重工子会社の日本水素エネルギーと岩谷産業やENEOSが共同で取り組んでおり、現在、建設工事や実証運転の開始に向けた技術調査が実施中です。その中で液化水素の出荷地として豪州ビクトリア州ヘイスティングス地区が、受け入れ地として水素需要のポテンシャルや港湾確保の観点から川崎市川崎区が選ばれています。

 実際、川崎市には多くの企業や発電所が立地している上、同市とENEOSなどが行った調査では、京浜臨海部で年28~38万トン程度の水素需要が見込みまれるとしています。扇島から羽田方面や横浜方面へ伸びる水素パイプラインの構想も検討中です。

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連携協定を締結する川崎市の福田市長(左)と川崎重工の原田英一水素戦略本部長(深水千翔撮影)。

 実証事業では商用化水準となる水素供給量年20万トン以上の実現を見通すために必要な大型設備として、液化水素運搬船や、川崎臨海部に設置する5万立方メートル型液化水素タンクなどを川崎重工が供給。水素の製造、液化、出荷、海上輸送、受け入れまでを実証を通じて行い、水素の供給コストを2030年には現在の約3分の1に相当する30円/Nm3(ノルマル立法メートル。気体の体積の単位)まで引き下げることを試みます。これは、現在のガソリンよりも大幅に手頃な価格で水素が充填できるようになるといえます。

「川崎重工が持つ水素を作る、運ぶ、貯めるというところ、そして私達の使うというところ。こういった一連のサプライチェーンを構築していく大きなパートナーになっていくことが今回の協定の最大の意義だと思っている」(福田市長)

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