ガルパンでも“戦車扱い”で活躍?「戦車より頼りにされた」III号突撃砲とは

独ソ戦がきっかけとなり役割激変

 そんな、III号突撃砲が完全に戦車扱いされることになるきっかけが、1941年6月22日から開始された独ソ戦でした。T-34などの優れたソ連戦車が登場すると、既存のIII号、IV号戦車では、火力不足であることが露見します。

 そこでIV号は火力を強化した長砲身の43口径7.5cm砲が取り付けられるようになりますが、III号戦車に関しては、砲塔のスペース的に長砲身とはいえ5cm砲を取り付けるのが精いっぱいでした。しかし、III号突撃砲は、砲塔がなく、車体そのものに砲をつける形だったため、スペースが大きく確保でき、IV号戦車と同じ長砲身の砲も搭載可能で、対戦車能力が大きく向上しました。

 さらに独ソ戦以降、ドイツ軍は慢性的な戦車不足に悩まされており、砲塔がないために生産性が高く、かつ火力もあるIII号突撃砲は重宝されました。戦場では対戦車を常に求められ、ほぼ戦車のような扱いをされることになります。

 旋回砲塔を持っていないため、左右からの攻撃は戦車より苦手ですが、III号突撃砲を部隊の正面に置き、IV号戦車や随伴した歩兵などで左右をカバーする戦法などもとられたようです。

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スイスのトゥーン陸軍基地で展示されているドイツのIII号突撃砲(画像:Alf van Beem<CC0>)。

 1943年後半以降、独ソ戦でドイツが守勢に立ってからもIII号突撃砲は有効性を発揮しました。砲塔がなく車高が低いため、待ち伏せに適していたのです。『ガールズ&パンツァー』でも、同車両が待ち伏せして攻撃しているシーンなどをたびたび確認できます。

 1944年頃からはIV号突撃砲、IV号駆逐戦車などIII号突撃砲の火力をさらに強化した砲塔を持たない戦車も登場しますが、生産数の多さや、信頼性の高さなどもありドイツが敗戦するそのときまで使用し続けられました。ちなみに、IV号突撃砲が登場するまで、同車両は単に突撃砲と呼ばれていたそうです。

【了】

【あれ、どこが違うの?】形状だけだとほぼIII号突撃砲なIV号突撃砲(写真)

Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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