EUガチ投資中「ヨーロッパから鉄道信号が消える日」やってくる? 100歳機関車も「最新システム」搭載の現場
EUの「信号システム統一」への投資熱がガチすぎる!
欧州連合(EU)のインフラ投資基金、コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(CEF)は2027年までに、258億ユーロ(約4.7兆円)の巨額予算を「輸送分野の拡充」へ振り分ける予定です(オランダの鉄道専門オンライン紙レイルテックによる)。
なかでも特に力を入れているのがETCSの導入助成なのです。鉄道の欧州統合という目的が達成できるうえ、さらに他の効果も期待できるからです。
ETCSは線路に埋め込む地上子と車体に搭載する装置が連携し、列車が適正な速度で走っているか監視する仕組みが備わっています。旧来システムとは違い、線路わきの古い固定信号に紐づいていないため、誤作動の恐れも少なく安全性も効率も向上します。ドイツ鉄道はこの新システムで制御された状態を「デジタル線路ドイツ」と呼び、導入の遅れを取り戻すべくETCSを全面導入して「線路わきの信号機」をすべてなくそうとしています。
導入完了の時期について、ドイツ鉄道の広報担当者は取材に対し言葉を濁しましたが、ドイツメディアは「2030年」と報じています。2040年代半ばには欧州全域に広がっている可能性がありそうです。
ETCSを含む列車制御システムの世界市場規模は、2021年度で 128億ドル(約1.9兆円)にもおよびます。今後、デジタル化の進展にあわせて2022―2031年に平均で年5.5% 成長し、217億ドル(約3.2兆円)に達すると見込まれています。
巨大市場になりつつあるETCSに、実は日本企業もからんでいます。ETCSの研究・開発を強みとしている仏電子機器大手「タレス」の信号事業について、日立製作所が16億6000万ユーロ(約2150億円)で買収すると2021年に発表しているのです。
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