「中国には勝てない」の烙印 M1エイブラムスはいつまで世界最強でいられるか アメリカ自身が押したワケ

制式化から40年あまり、改修を繰り返しながら運用され、世界最強とも称されるアメリカのM1エイブラムス戦車に、アップグレード版であるM1E3の開発が発表されました。しかしM1自体が「中国と戦う頃には無力になる」という烙印を押されてしまいます。

M1E3の機能を備えた軽量戦車も?

 そこで、陸軍科学委員会が新しい戦車に求めているのが130mm主砲、乗員の減員、ハイブリッド電気推進システム、アクティブ防御システム装備で、かつ重量を55~60tに抑えたもの。この提案に近いのが、2022年10月のAUSA(陸軍協会年次総会)でM1のメーカー「ゼネラル・ダイナミクス・ランドシステムズ(GDLS)」が展示した技術実証コンセプトモデル「エイブラムスX」です。

 また委員会は、20~30トンのロボット戦闘車(RCV)やM1E3に求められる機能の多くを備えた35~40トン級軽量戦車の導入も推奨しています。軽量戦車としては、M10ブッカーの取得が進んでいます。

 有人戦闘車とチームを組んで活動するRCVの研究は数年前から行われており、小型偵察用の軽量型(RCV-L)、120mm砲まで装備した戦車の代わりもできるような重量型(RCV-H)、その中間の中量型(RCV-M)の3タイプが想定されています。このチーミングがうまくいけば、機甲部隊はより柔軟な運用が可能になり、低コストで戦闘力を向上させることが期待されます。

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有人戦闘車OMFV(現在はXM30と呼称)とロボット戦闘車のチーミングのイメージ図。XM30は歩兵戦闘車の役割もある(画像:月刊パンツァー編集部作成)。

 しかしRCV戦力化の見通しははっきりしません。2023年8月に陸軍の買収・兵站・技術担当次官補は議会への報告において、無人化技術を確立するためにRCV-Lへ注力している段階で、RCV-Mについては当分延期するとしています。RCV-Hはようやく今年の合衆国陸軍協会(AUSA)の年次総会で、メーカーがモックアップを展示した段階です。

 世界最強戦車と謳われたM1が、中国と戦う頃には無力になっているという陸軍科学委員会のレポートは、「必要な物を、必要な時に、必要な数だけ、必要な所に」という兵器の要諦を、M1が満たせなくなっていることを危惧しています。また中国という新しいライバルに対して、1980年代の戦車を60年以上使い続けることを要求されたアメリカ陸軍の不満を代弁しているようで、メーカーの営業的な思惑も見え隠れしています。

【了】

【え…!】最新型「エイブラムスX」です

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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