「EU空母」実現なるか!?「他に選択肢はない」と欧州委員会で高官が発言

実現可能なのか!?

以前にドイツが提案したことも

 ベルギーのブリュッセルで2023年10月10日行われた欧州委員会の安全保障会議において、フランスのティエリー・ブルトン委員がEUは「空母、ミサイル防衛及び宇宙ベースの脅威探知能力の強化について論議を始めるべき」と訴えました。

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EU構成国で唯一の正規空母で原子力空母のシャルル・ド・ゴール(画像:フランス海軍)。

 2019年にもEUで空母を所有するというプランが論議されたときがありました。その際は、当時メルケル政権で国防大臣を務めたクランプ・カレンバウアー氏が発案しましたが、欧州で空母を所有するプランは加盟国の地政学的条件が異なるため、現実的ではなく「まともな運用は期待できない」という結論で却下されています。

 今回はミサイル防衛や宇宙ベース脅威探知能力も一緒にブルトン氏は発言しましたが、一度現実的ではないと判断しEU空母構想を出した背景には、もちろん、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、欧州情勢が劇的に変化している影響があります。

 ブルトン氏は「欧州大陸で激しい紛争が再び起きている以上、他に選択肢はない」と強調します。

 EUでは、取り巻く国際情勢が大きく変化していることを受け、2021年6月に「欧州防衛基金」を始動させています。この基金では総額約80億ユーロ(約1兆3000億円)を投じ、国境を越えた共同研究と開発プロジェクトを支援していくことになっており、ブルトン氏にはこの基金と、今回のEU空母やミサイル防衛を結び付けたという狙いがある、との報道も一部ではあります。

【了】

※一部修正しました(10月18日17時58分)。

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