「箱の中からミサイル発射!」コンテナにしか見えない新発射システム 戦術を一変か? 自衛隊にも大きな影響が

自衛隊に対しても意義大きいワケ

 また、艦隊内のイージス艦を始めとした防空艦を軸にMK 70搭載艦をネットワークで結ぶことができれば、状況に即して最適な位置に展開している艦艇からミサイルを発射できるほか、仮にイージス艦がミサイルを撃ち尽くしたとしても、MK 70搭載艦のミサイルをイージス艦が誘導することで、戦闘を継続することが可能になります。つまり、MK 70があれば、艦隊内における各種ミサイルの運用数を底上げできるのです。

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トレーラー搭載型のコンテナ式VLS「タイフォン」(画像:アメリカ陸軍)。

 こうしたMK 70の意義は、おそらく防衛省/自衛隊にとっても無関係ではないと筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は考えます。たとえば、コンテナ搭載スペースを有する艦艇にMK 70を搭載すれば、あらゆる事態に対応する能力を幅広い艦艇に与えることができます。

 加えて、今後自衛隊が整備する「スタンド・オフ防衛能力」(敵の射程圏外から長射程兵器により安全に攻撃する能力)に関しても、とくにトマホークの発射能力を艦艇のみならず陸上自衛隊の部隊にも比較的簡単に与えることが可能となり、運用の柔軟性も広がるでしょう。

 とはいえ、もちろんMK 70にも問題はあります。たとえば「サヴァンナ」が良い例ですが、MK 70を飛行甲板に設置すると、ヘリコプターの運用能力に著しい制約が課されます。新しい能力を得るために既存の何かしらの能力を失うとすれば、そのどちらを選択するべきか、状況に即した判断が求められることになるでしょう。

【了】

【箱の中からババーン!】コンテナ型VLSからミサイル飛び出た瞬間ほか(写真)

Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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