落ち葉ごときで?? 車輪すべって4時間缶詰め… なぜ鉄道は坂に弱いのか

JR山陽本線の難所「セノハチ」で、旅客列車が乗客を乗せたまま4時間立ち往生するというトラブルがありました。ただでさえ急坂なこの区間に落ち葉が積もり、車輪が空転したのが原因だそう。こうした事態に鉄道はどう対応してきたのでしょうか。

落ち葉ほかヤスデによる害も

 JR山陽本線の八本松~瀬野間で2023年11月6日午後、普通列車が立ち往生するというトラブルがありました。乗客は約4時間、車内にとどまったということですが、原因はレールの上に濡れた落ち葉が積もり、車輪が空転したためとみられます。
 
 この区間は「セノハチ」とも呼ばれ、有名な撮影スポットである一方、約10kmにわたり急な勾配が続きます。最大勾配は22.6パーミル(水平で1000m進んだ時に22.6mの高さを上る)、角度にすると約1.2度です。ほとんど平らのように思えますが、鉄道にとっては国内有数の難所でもあります。

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JR山陽本線。写真はイメージ(画像:写真AC)。

 そもそも日本の鉄道は、勾配を設けるにしても原則として25パーミルを限度とし、やむを得ない場合にそれより急で建設しました。短距離ならまだしも、前述の通りセノハチでは、限度寸前の勾配が10kmも続きます。このように線路が敷設されたのには、建設費によるところが大きいのでした。

 鉄の車輪が鉄のレールの上を、小さな接地面だけで転がる鉄道。摩擦が少ないため、平らな場所ではより長い距離を効率よく走れます。逆に勾配では、車輪がスリップしやすくなるというわけです。

 そこへ落ち葉が積もると、車輪に踏みつぶされた落ち葉に含まれるタンニンという物質が鉄製のレールと化学反応を起こし、被膜を形成して空転しやすいレール表面へと変化することも知られています。似た事例では、大発生したキシャヤスデ(節足動物)が線路をふさぎ、踏みつぶした列車がスリップし立ち往生することもあります。

 では鉄道は、難所を克服するためにどのような工夫を凝らしてきたのでしょうか。

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