ゴジラと戦った異形の戦闘機「震電」福岡で発見!? 史実じゃ“あり得ないプレート” 貼られた意味は?

新作映画『ゴジラ-1.0』の劇中に、未慣れぬ形をした日本の戦闘機が登場します。実はこの機体を正確に再現した原寸模型が、福岡県で一般公開されています。調べてみると、両者は「同一機」のようでした。

大刀洗「震電」で見つけたドイツ語の射出座席表示

 ところで映画『ゴジラ-1.0』に登場した「震電」には、オリジナルにはない装備として射出座席がありました。

 これは、機体後方にプロペラを配置したレイアウトゆえ、緊急脱出時にパイロットがその回転に巻き込まれずに離脱できるよう設けられたものです、劇中でも大きな役割を担っていましたが、実機にはそのような装置はなく、代わりに試作2号機からハブ内に火薬爆破式のプロペラ飛散装置を組み込む予定でした。

 この現代のジェット戦闘機にも標準装備されている射出座席は、第2次世界大戦末期のドイツで世界に先駆けて実用化されたもので、初期のタイプは圧縮空気で作動しました。そしてハインケルHe219「ウーフー」夜間戦闘機やHe162「サラマンダー」ジェット戦闘機、ドルニエDo335「プファイル」戦闘爆撃機などに装備され、一説には終戦までに撃墜されたり、事故で脱出したりした60名以上のパイロットの命を救ったと伝えられます。

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第2次世界大戦末期に開発されたドイツ戦闘機He162「サラマンダー」。単発ジェット戦闘機としては、世界で初めて射出座席を標準装備した(吉川和篤所蔵)。

『ゴジラ-1.0』では、元海軍工廠で兵器開発の技術者であった人物が「戦闘機には最低限の脱出装置も付いていなかった」という台詞を口にしますが、劇中の「震電」に搭載された射出座席はそのアンチテーゼとしての舞台装置と言えるのかもしれません。

 一方、大刀洗の「震電」には、展示当初からある“秘密” が隠されています。それは2階テラスに上がると見えるコクピット内の座席、そのヘッドレスト下部にある赤文字で書かれた白いプレートです。

 そこには劇中と同じくドイツ語で「Druckluft-Schleudersitz」(圧縮空気式射出座席)と「Bestätigung」(確認)の文字などが描き込まれています。これが示すところは、そのシートがドイツ式の射出座席であるということでしょう。

なぜ、この展示機に実機には装備されていなかったドイツ製射出座席を想起させるプレートが設置されているのか。これは、正に同展示機が『ゴジラ-1.0』で用いられた「震電」である証左だと筆者(吉川和篤:軍事ライター/イラストレーター)は考えます。

これは『ゴジラ』制作サイドが明言したわけではないので現状では筆者の推察になりますが、この状態で今後も展示されると思われるので、九州に立ち寄った際は大刀洗平和記念館に脚を延ばして、ぜひ機体と共にこのプレートを直接、確認してみてください。

【了】

【え、実機にはないよね!?】大刀洗平和記念館の「震電」激写! 操縦席にあるドイツ語プレート(写真)

『ゴジラ』登場兵器総まとめ! 旧軍戦闘機から自衛隊の戦車まで

Writer:

1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集」や「イタリアの中戦車・重戦車写真集 」、「イタリア軍写真集」など。

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