造船の街“玉野”の自衛艦建造どうなる? 護衛艦「ゆうべつ」進水 もがみ型は最後に

もがみ型と似て非なる新型FFM

 一方で8番艦の「ゆうべつ」は、VLS(垂直発射装置)やVDS(可変深度ソナー)、USV(水上無人機)、UUV(無人水中航走体)といった装備を就役時点で搭載しないことが決まっています。

 VLSは2021年度補正予算で2隻分の取得費用(84億円)が計上されていましたが、これについて海上幕僚監部の広報室は「世界的な半導体不足などの影響を受けてVLSや関連する機器の納入が遅れている」と説明。これまでと同じく「によど」と「ゆうべつ」も後日装備にすることにしたといいます。

 とはいえ、ならば9番艦は当初からVLSを装備できるかどうかについては、現時点では見通せないとのことでした。

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次世代護衛艦「新型FFM」のイメージ(画像:防衛省)。

 また、もがみ型は当初、三菱重工業が主契約者として長崎造船所で、三井E&S造船が下請負者として玉野艦船工場で建造を担うことになっていました。しかし三井E&S造船が艦艇事業を三菱重工へ譲渡したことに伴い、全て三菱重工グループで建造されることになったという経緯があります。実際、2番艦の「くまの」は三井E&S時代の玉野で進水式が行われました。

 もがみ型は、すでに4番艦の「みくま」までが引き渡し済みで、年内には5番艦「やはぎ」が就役する予定です。なお、9番艦以降の建造は、全て三菱重工の長崎造船所が手掛けることになっていますが、もがみ型の改良型として基準排水量4500トン(防衛装備庁発表では4880トン)の「新型FFM」を調達することが決まっているため、12番艦をもって建造を終了します。

 新型FFM同艦には、射程1000kmを超えるとされる新型ミサイル「12式地対艦誘導弾(SSM)能力向上型」や新艦対空誘導弾が搭載される予定で、防衛省は2024年度の概算要求で建造費として2隻分1747億円を求めています。

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