造船の街“玉野”の自衛艦建造どうなる? 護衛艦「ゆうべつ」進水 もがみ型は最後に

玉野の造船ドック今後の予定は?

 防衛省が発表した新型FFMのイメージイラストなどを見ると、もがみ型とほとんど変わらない姿になる模様です。それでも排水量でいうと約600トンから900トン増える理由について、防衛装備庁は長射程ミサイルの搭載ならびに従来よりも探知能力が向上したソナーシステムの採用、平時の警戒監視と有事における対潜戦、対空戦、対水上戦の能力向上を図ったからだと説明しています。

 新型FFMは三菱重工が主契約者として設計と建造を、JMU(ジャパンマリンユナイテッド)が下請負者として一部の建造を担います。こちらも、もがみ型と同じく12隻が導入される計画で、2024年度から2028年度にかけて整備されるとのこと。単純計算では年2~3隻の進水・就役になる模様で、1年に2隻ごとだったもがみ型と比べて、早いペースで配備されると推察できます。

 これは三菱重工が持つ長崎のドックと玉野の船台に加えて、JMU横浜事業所磯子工場の新造設備を使用できるからでしょう。

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2020年1月15日、当時の三井E&S造船株式会社 玉野艦船工場で命名・進水した「あき」。ひびき型音響測定艦の3番艦で、2021年3月に就役、実運用中である(画像:海上自衛隊)。

 加えて玉野では、ひびき型音響測定艦を建造した実績があるため、22年度予算で新造が決まった同型4番艦の建造も行われる可能性が多分にあります。ちなみに、ひびき型はネームシップ含めて過去3隻建造されていますが、そのすべてが玉野生まれです。逆にいうと、音響測定艦の建造ノウハウは三菱重工マリタイムシステムズ(旧三井造船)にしかないと言えるでしょう。

 商船の建造から手を引き、三菱重工グループの下で艦艇・官公庁船の専門ヤードとなった玉野の造船所ですが、周辺情勢の緊張が高まるにつれ、昨今は自衛艦や巡視船の需要が増えているため、安定した手持ち工事量が期待できます。

 こういった状況を鑑みると、舞鶴や佐世保などと比べて、玉野における新造船の灯はいましばらく大丈夫そうです。今回進水した「ゆうべつ」でいったんは護衛艦の進水は中断するものの、新型FFMの建造が始まれば、ダイナミックな船台進水が再び見られるようになるでしょう。

【了】

【軍艦マーチが脳内再生されそう】これが護衛艦「ゆうべつ」命名・進水の一連のシーンです(写真)

Writer: 深水千翔(海事ライター)

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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